第29話 友達になってから その4
「その後、私と凛くんで一緒にご飯を食べる日にちなどを決めて、食べるようになり、今の仲に至るって感じ」
柚花の長い長い説明が終わった。
改めて思い出すと、あの時僕が熱を出さなかったらこうなっていなかったのかなと思う。
あの時はよく熱出したぞ!僕よ!
「ふふ、そんなことはないですよ」
「え??」
突然の返事に僕は驚いた。
別に、柚花から急に声をかけられたことに驚いたわけではない。
柚花が言っていることが、僕の頭で考えていたことの返事になっていたことに驚いたのだ。
もしかしたら柚花はエスパーかもしれない。だとしたら僕が抱いている気持ちも……いや、やめておこう。柚花と桃崎さんがいるこの場所で考えることじゃない。
「凛くん驚きすぎですよ」
「ごめんごめん。まさか声をかけられると思ってなくて」
「いや、さっきから黙って見てたけど私いるからね?……そろそろ蚊帳の外にされるのは嫌なんだけど。私!お客さん!お客さんだからね?!」
話が終わったと思ったら2人の世界に入ってしまった僕達のせいで桃崎さんが拗ねてしまったみたいだ。
たこ焼きを突きながら頬を膨らませていた。
多分拗ねた時の表情なのだろう。
「はいはい、拗ねたふりはいいから話し聞いたんだったら感想ぐらい言ってよ、さく」
………………これもふりなのか。もう本格的に桃崎さんのことを信じられなくなってきたんだけど。
「んー感想とかはないけど、付き合ってたんなら私にだけでもそう言ってくれればいいのに……」
「「付き合ってない!!」」
ハモってしまったが、どう解釈したらそうなるのか教えてほしかった。
「お互い自覚ない感じなのか……これは時間がかかるかも」
小声だったため何を言っているのかはわからなかったが、付き合ってないことは伝ったと思う。
全く……桃崎さんは。
たこ焼きパーティーを再開した僕たちは夕方まで家で遊んだ。
ゲームもしたりしたのだが、桃崎さんがかなり強かった。
格闘技系のゲームから車系のゲームまで全般的に強かった。
こんなこと言ってて、一度も負けてないけどね!!
負けるわけにはいかないよね、長年やってきてるし。
柚花はと言うと、ゲームに負けっぱなしだったからか本当に拗ねていた。
途中なんか、僕と桃崎さんに意地悪されて半泣きになっていた。
口には出さないが、その時の表情がめちゃめちゃ可愛かった。
桃崎さんの拗ねたふりと同じような顔ではあったが、破壊力は抜群だった。
僕はここでふと気になったことがあった。
今日は僕の家に居るのに、柚花が外行きの格好をしているのだ……。
もしかしたら桃崎さんにも見せてないのかな?
そんな疑問が頭に浮かび上がってくる。
桃崎さんが居るタイミングで聞くのはやめておこうと思う。
「あれ、送ってってくれないの?」
19時になり桃崎さんが帰ることになった。
まさかこんな時間になるとは思わず急いで夜ご飯の準備をしなくてはいけなくなったのだ。
その為、僕は桃崎さんを送らず家に残ることになって僕と柚花の間で決まった。
「夜ご飯、作らなきゃいけないからね。ごめんね送っていってあげられなくて」
「別に岡くんに送ってもらいたいとか思ってないから!今日は楽しかったありがと!私のゆず貸してあげてるんだから、悲しませたりしたら怒るからね」
とだけ言って、柚花の苦笑いと共に出て行った。
僕の中で柚花だけが友達でいいと思っていたけど、もう桃崎さんとは友達なのかもしれない。
柚花も桃崎さんには心を許しているようだしね……だからこそ、桃崎さんにいつもの地味バージョンの柚花を見せてないのかなと疑問に思った。
聞くかどうか迷ってたけど、やっぱり聞こうと思う。
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