第10話 二日森喫茶店
学校終わり、僕はバイト先に直接来ていた。
現在の時刻は16時45分。
17時から21時の閉店までの4時間が僕の勤務時間となっている。
とりあえずバイトの制服に着替えるため更衣室に入ると……
「あ……」
更衣室の中では今年で大学一年生となったバイトの先輩、
「あ、じゃないでしょ。女子が着替えていたらすいませんって言ってドアを閉めるもんでしょ……」
「いや、何言ってるの?従姉弟に興奮なんてしないし」
「はぁ〜……本当にそう言うところだぞ凛ちゃん」
「凛ちゃんって言うなし」
僕が言った通り、僕と美奈は従姉弟の関係である。
そして、オーナーである二日森
とても無口である。
実は一人暮らしはしているものの、僕の家から徒歩5分ほどで着くこの喫茶店は、喫茶店兼お婆ちゃんの家となっていた。ついでに美奈も……
ここ二日森喫茶店は正直繁盛している訳ではない。
常連さんはいるのだが、それでも毎日21時までお店を開いているのは意味がないな、と思う。
従業員は僕と従姉弟の美奈だけ。
極たまに二人だときつい時がある。
あと1人ぐらいは欲しいぐらいだ。
「俺も着替える。早く着替えないと17時になっちゃうし」
「はいはい真面目なんだから……全くもう」
なんだかんだ美奈とは仲はいい。
だからこそ2人でするバイトは楽でいいのだ。
「じゃー今日も頑張って行こーーう!」
「本当元気だな……」
僕は厨房にいる真子さんに挨拶をしてからホールに出る。
やはりお婆ちゃんは無口だった。
頷くだけだし……。
バイトする前は知らない人と会話なんて嫌だと思っていた。
だけど最近はお客と話すのは楽しいな、と思っている。
学校の友達よりはマシだと思うレベルだが。
バイトが始まり、18時頃まではとても忙しかった。
だけど18時過ぎた辺りでとても暇になってしまった。
「あーやっと落ち着いたねー疲れた……」
そう言って、お客が座る椅子に座る美奈。
「美奈……勝手に座るなよ」
「大丈夫だよ来たら立つからさ!」
「全くさ……」
こんなことしているが美奈はやる時はやる人なのでそこまで強く言うことができない。
「それよりもやっぱり1人欲しくない?」
「ん?……あ〜こう言う時間がなくてずっと忙しいなら確かに欲しいけどな……」
「でも、混んだ時はほしいって思うでしょ?」
「まあ……それは思う」
今、僕と美奈が話しているのはもう1人働く子欲しくないか、と言う話し合いだ。
僕の意見を言うと今は半々ぐらいとしか言えなかった。
ほしい時はほしいし、いらない時はいらないのだ。
「でしょ?誰か凛ちゃん的にいないの?私とも凛ちゃんとも気が合いそうな子で、この制服を着こなせる子」
「凛ちゃんって言うなし。それより美奈、男は無理じゃん。選択肢は女子しかないんだけど……」
「あはは、まーね」
なぜ美奈が男は無理かって?僕と普通に話してはいるが美奈は大の男嫌いなのだ。
理由はなんか生理的に受け付けないってことらしい。
何もしてないのにいるだけが罪と言われているような気がして僕までも心が痛かった。
そして、美奈はとても整っている顔をしている。
だからこそ、男からのアプローチがあり、こう言うことが言えるのだろう。
「まーいるっちゃいるけど……でもバイトもうしちゃってるんだよね。その子」
「え?凛ちゃんに女の子の友達がいるの?」
「うんいるよ。てか、僕にはその子しか友達いないよ」
「何それ、悲しい」
「うるさいな〜とりあえず聞いてみるよ」
「わかった。ありがとう!」
そのあとお客が入ってきたので会話を中断させ、僕たちは仕事に戻った。
家に帰ったらダメ元で柚花に聞いてみることにしよう。
忙しいと暇を繰り返しながら21時まで働き、僕は家に帰るのだった。
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10話読んで頂きありがとうございます!
二日森喫茶店、、いい響きですね。
もしあったら行ってみたい!
コメント、応援いつもありがとうございます!
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