第8話  柚花との放課後

学校が終わり僕は、駅に向かって歩いていた。



今日の授業は4時間目まで通常授業。

5・6時間目は体育祭の種目決めとなっていた。


なるべく1人で出れる競技を選びたい僕はある意味必死だった。


そして決まった種目は、障害物競争。

なんて、安定なんだ……


「「あ……」」


そうんなことを思っていると、駅で柚花と会ってしまった。


思わず声を出してしまったが気にする素振りも見せず、僕は柚花を素通りした。


ここで「よっ!」なんて話しかけて同じクラスの誰かに見られでもしたら、明日話しかけられること間違いなしだ。




「よっ!」


最寄りに着き、駅を出てから柚花に声をかけた。


「珍しいですね。ここで声をかけてくるのは」


「そうかな?まあそうだとしても、ここから映画まで歩くと同じ道を歩くと思ったんだよ」


「確かにそうですね。なら一緒に行きますか」


僕たちは2人で映画館に向かうことになった。






「なに見ますか?」


「うーーんそうだね。あ、これでいいんじゃない?」


「そうですね。特に見たいものがあるわけでは無いですし」


見ることになったのは外国のスパイ映画だった。

CMで見る限りは面白そうではあったので何気に楽しみだ。


「なに買いますか?」


「柚花は?」


「私は……ドリンクとポップコーンですかね」


「同じく!僕も今日は無難にそれで行こうと思ってた」


「なら2人で一つのポップコーンにします?」


「そうだね、夜一緒に食べるもんね」


そう言えば、最近は節約も兼ねて食べれる時は柚花と一緒に夜ご飯を食べるようにしている。


そして、夜ご飯は……


「「最初はグーじゃんけんぽん」」


僕は……パー


柚花が……チョキ


「はい!じゃー今日は凛くんお願いしますね!」


「う、また負けたような気がする……」


じゃんけん制となっていた。

最近は僕が作る事が多い気がするが……楽しいので良しとする。



実は一度だけ柚花と友達になってから、もしかしたら他の人とも会話すれば仲良くなれるかも、と思った時があった。


だが、現実そんな上手くはいかなかった。

急に話しかけた事も理由の一つだったのだろうが、うわぁって驚かれて逃げられたのだ。

とても悲しかった。


「凛くーん聞いてる?」


「ん?う、うん聞いてるよ」


「じゃー私なんて言いました??」


「え〜…………」


「ほら聞いてない。もう!今回は私がドリンク代とか払いますねって言ったんです」


「ん?そんなの2人で払えばいいじゃないの?」


「いや、最近凛くんの家を使わせて頂いているので、お礼がしたくて……」


「そしたら、料理とか作って欲しいな……僕的にはそっちの方がお礼だと思うな〜」


「そうですか……じゃあ料理を作るのがお礼と言うことで……って、それはじゃんけんで負けた方って決めたじゃないですか〜凛くん意地が悪いですよ」


「あはは、バレたか」


柚花は少しだが抜けている。

例えばこうやって、すぐ信じてしまうところとか。

僕のこと、最初はあんなに警戒してたのにな……


話し方・接し方、実際柚花から話を聞いて、完璧な人だと思っていたから、なんだか抜けている、と言うのは新鮮だった。


僕はよく町で歩いている、陽キャを見ると恵まれた環境にいるから陽キャになるのではないのかなって思っていた。


僕も親には恵まれているんだけどね……


しかし、柚花に関して言えば、家の中だとどちらかと言うと陽より陰だし、美容に関してはいつも気を遣っていてケアとかもしっかりしている事がわかった。


柚花は努力していたと言うことだ。

まぁ……元々顔は整っていたとは思うし、陽キャになりたいわけではないだろうけどね……。



深い考えから返って来た時には映画が始まる前だったので、僕は一口ドリンクを飲み映画に集中するのであった。





「普通にって言うのもあれだけど、普通に面白かったね」


「ふふ、それなら面白かったって言えばいいじゃないですか」


「まーね。じゃー買い物して帰ろうか」


「そうですね」


僕たちは話しながら、映画館を出た。


――――――――――――――――

少年A

「おい、今の制服って……」


少年B

「そうだな、南美高校だな……」


少年C

「それに一緒にいたのって確か……」


少年D

「同じクラスの岡だな」


少年A.B.C

「「「そうだよな!」」」


少年A

「それに女子の方めっちゃ可愛くなかった?」


少年B

「うん、もう可愛いってレベル超えてる気がするよ」


少年C

「明日岡に聞いてみるか」


少年A.B.D

「「「そうだな」」」


―――――――――――――――


家に着いた僕は、着替えた後キッチンに立っていた。

すると、玄関から"ガチャリ"と聞こえてきた。

もう、柚花には合鍵を渡しているので自由に入ってもらうようにしている。


「あ、もう準備してる。今日は食材いっぱい買っていましたがなにを作るんですか?」


「今日はビーフシチューだよ」


「ビーフシチューですか。いいですね!楽しみです」


「少しぐらい手伝ってくれてもいいんだぞー」


「全く……じゃんけんに勝ったらいいですよ」


そう言ってまたじゃんけんをさせてくる柚花。


「「じゃんけんぽん」」


僕……グー


柚花……チョキ


今度は勝てた。


「負けちゃいましたね。しょうがないから手伝ってあげます」


「やったね!」


結局2人で作ることになったが、決して僕は料理ができないわけではない。

ビーフシチューぐらいなら一人で作れる……だろう。






夜ご飯も食べ終わり、アニメの時間まで二人で話しながら待つ。

そしてアニメが見終わったら柚花は自分の家に帰っていく。


1人でいることは好きだけど、柚花となら複数でもいいかなって僕は思ってしまう。

好きとかそう言う感情ではないと思う……まだ。

とか、思いながら僕はお風呂に入るのだった。



___________________________________________

8話読んで頂きありがとうございます!


いいな〜高校の放課後デート、、


思い出だと、部活!部活!部活!

う、、、思い出したくもないな、



報告です!

総合PVが2,000を超えました。

そして、小説のフォローが130人行き、応援数も100を超えました!

本当にありがとうございます!

とても嬉しいです!


まだまだ始まったばかりですが、少しでも多くの人に読んで頂ければ嬉しいです!


コメント、レビューもして頂けたら嬉しいです!

よろしくお願い致します!












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