047 尖塔から響きゆく鐘の調べ②
「……遅い。お祈りの時間を過ぎちゃってたら、どうしてたの?」
「うーん、
姿勢を変えず、視線もそのままにそう言葉を返す少女の後ろで、
「それに…………」
そこに振り向きざま、少女は続ける。
「なあに、その´おひげ´? なんだかお
「…………」
だけども、それは本当に
「リリー。わ━━、…………。´僕´はもう、お爺ちゃん……なんだよ?」
「……?」
キョトンとした表情を見せる少女の二つの
そこへ……
「ん? ……ん?」
「……おや? もしかしてその子が、
「うわさ……? ロッコっていうの。ほら、ロッコもこっちに来て?」
「おう!」
無事に話の輪に入れたことで、クマのぬいぐるみは
「よっ。よろしくな!」
「ああ。よろしく、ロッコ」
得意げに片腕を上げているクマのぬいぐるみの頭に、そっと老人の右手が
そうした
「っと。あー……いたたたた……」
ついつい、口から
そんな姿を目の前で見せられた少女は、
「もう、本当にお
´ふんすふんす´と鼻息を
やる気を
「……ロッコ。そのままでいいから、少しだけ……聞いてほしい。私はもう、´こんな´だからね……彼女と一緒になって走り回ったり、色々な事を分かち合う事が難しいんだ。だから……これからは君が、彼女の
「そんな事、言われなくても大丈夫さ。それに……リリーの方が俺を離さないよ」
「……そうか。それならいいんだ」
こちらに見向きもせず、
「そういえば、
今度は逆に、クマのぬいぐるみから老人への言葉。
「……ん? それは……いやぁ、は、ははは……」
よくある、当たり
「??」
「もう、
軽く頭をかき、そう言う老人は少女を見ながら少しだけ目を細め……
「彼女は、私の
〈ゴーン……!!〉
そんな
ビリビリと震える空気。楽しそうに両耳を手で
毎日のお祈りの時間を
街の人々はこの音を聞き、より
少女は再度、
〈ゴーン……!!〉
耳を
やがて、
その満足そうな表情と共に、
「ありがとう、リリー」
「これからは
「ああ。助かるよ」
「リリー、そろそろ俺たちも行かないと……」
「うん!」
老人の
そして、
「うーん…………あっ!」
そうして顔を見せるのは、元々は別の物に使われていたであろう赤いリボン。
それを
「ほら……お
そう言って少女は頭の赤い´
「━━じゃあ、またね」
「お
━━━━━━━━━━
「━━ただいま」
「おかえりー! ……あれ? ジーチャンのヒゲになんかついてる!」
「ん……? ああ、これは……久しぶりに会った、お
「へぇー……」
「そうだなあ……お前が
「ふうん━━」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます