041 とっても楽しい道化市①
少女は来た道を
「う~ん、お師匠様に何かプレゼントしようかなあ? 色々あって
「……あっ。これとかどうでしょう? 色合いも
ポシェットの中にクマのぬいぐるみを押し込むと、少し
「ね、ねえ……もう
そう言葉をかけながら、若いシスターの
何度も、何度も何度も、近くを通る
「い……行かないの?」
「…………」
やっぱり、何も変わらない……
肩を落として
「おっと〜? もうそんな時間かあ! お師匠様へのプレゼントは〜、
続いて、
「ええ、そうですね。先に見に行きましょう。……行こう、リリー?」
「行こう行こう!」
目の前に差し出された二人の手に少女は見る見ると顔を
「……こっち! あそこまで行くには、こっちを通るのが一番早いの!」
「あれ? リリー、場所を知ってるの?」
「うん! ここの事なら、リリーは何でも知ってるよ?」
不思議そうな顔を見せる若いシスターに対し、少女はその手を引きながらに
あんなにも見て。
全てを知っているはずなのに、どういう
「はやく、はやく!」
「さあさあ、もうすぐで
すぐさまと耳に届く、赤く
声を張り上げての熱心な案内に
「…………」
自分達に
そこをチラチラと気にして、そして嬉しそうな様子で視線を戻す……そんな少女の不思議な行動に。
「……?」
「リリー、どうかしたの? 何か
「ううん、何でもないよ。……ね、ロッコ?」
こちらを見上げ、そうと口では言うものの。
少女の
「ねえ、私にも━━」
列に並ぶという待ち時間の中で出会えた、
それを
ざわり。ざわわ。
人々が
「おっ! そろそろ始まるみたいだね!」
「ええ、そのようです。……楽しみね、リリー?」
「うん!」
いよいよ。とうとう。待ちに待った
そう思うだけで少女の気は
「ちょ、ちょっと……! リリーってば!」
「……? ……おや、これはこれは」
「あらあら……」
「す、すみません……」
少しでも早く先に行きたいのか、少女は自分達の前を歩く
若いシスターが
ペコペコと頭を下げる若いシスターに、
その
「はい、三人です!」
……付近は、かなりの人混みだ。
はぐれてしまわないようにと
「……!!」
「おお〜!」
「これは……予想以上、ですね」
実際に
そして、この巨大な
比較的早くから列に並んでいたという事もあってか、中央の
周囲の席も一瞬のうちに
「いやあ、リリーのおかげでこりゃあ特等席ですなあ!」
「この人数ですから、少し遅れただけでかなり後ろの席になっていたかもしれませんね」
「うんうん、さっすがリリー!」
「う……うん…………」
そう言って若いシスターから視線を送られるも、二人の間に座った少女は気もそぞろ。
目はぱちぱち、足はぱたぱた。とっても嬉しいの中で見え隠れする、ほんのちょっとの難しさ。
やがて……ほぼ全ての席が様々な
天井にある窓が順番に一つずつと閉じられていっては、
……ゴクリ。
飲み込んだ
〈パンパンッ!〉
「
外の
それらに身を
「━━こちらに座る小さなレディーも! 本日はお
そう言葉を言い終えると、ワッと沸き起こった
「レディーかあ! 良かったね、リリー?」
「……? そんなにいいことなの?」
「もっちろん! 男性からそう呼ばれるって事は、自分が
「……ふうん」
「んもう、リリーってばそんな顔しちゃって〜。私だって
「ほ、ほら……見て下さい、奥の方から何か出てくるみたいですよ?」
「んん? ……んんんん??」
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