015 中庭に響く音色②
「……あれ? なんかさっき見た時よりも、ソレ……小さくなってないか?」
少女が空に
それを見たクマのぬいぐるみは少女の
「うん。ちょうどいい大きさ」
「なんだよ、´かんむり´にするんじゃなかったのか?」
「ううん、これは´かんむり´よ?」
「んー? ……ならさ、やっぱりもっと大きくした方が━━」
言葉を続けたまま、ポスリと少女の
……ふわりと
「……へ?」
「これはね……ロッコの´かんむり´なの!」
「ほら、これでロッコと一緒よ」
そしてクマのぬいぐるみの耳に
「だ、だからこういうのは俺には……」
「おや?
「かわいいのに」
「可愛いのにね」
「うっ、うるさいうるさいっ……! 次は俺の番だろ、早く教えてくれよ!」
花で出来た
その
「それは構わないけど……ロッコ、
「そんなこと、やってみなくちゃ分からないぞっ」
「うーん………………あっ」
どう答えたものかと
目の前にいるクマのぬいぐるみの
「そうだロッコ、僕が作ったこの´花かんむり´なんだけど……」
ベンチの上に置いていた花の
「……実はこれ、まだ完成してないんだ」
「えっ、そうなのか?」
「見てごらん、この部分だけ……ちょっと
「ん……んんっ? あー、えーっと……言われてみれ……ば?」
「さっき、僕が
それらしい所をテキトウに
クマのぬいぐるみはどこかまだ
「はい、ロッコ。……いいよ?」
「さ、やってごらん?」
「うーん……」
そこに多少の
「…………こ……これでいいのか?」
自身が最後に手を加え、出来上がったものを確認したクマのぬいぐるみが
そこから、
しかし、それを
太陽から
小鳥たちが
今いる環境を形作っているすべてのものが、
「ああ、これで完成だよ。僕は途中までしか作れてないから……この´花かんむり´は、完成させた
「……お、おう?」
「わぁ、すごいロッコ!」
「へ、へへ……。まあ……な!」
若い男性が
すっかりと二人に乗せられた事で、
「ほらよ、これはリリーにやるよ」
そう言って目の前で大きく
「ありがとうロッコ…………これでお
明るい声で再び、周囲にその笑顔を振りまくのだった。
……
……ぎこちない形ではあるものの、作者の一生懸命さが伝わってくる
それぞれを頭に、にこやかに会話を続ける少女とクマのぬいぐるみのやり取りをある程度見届けた若い男性は、作業に戻ろうと立ち上がろうとする……
が、その体勢はグラリと
「おいおい、大丈夫か?」
「……っとと。最近はちょっと多くなってきた……かな?」
~~~~~~~~~~
「それでね、ロッコ? だから━━」
時刻は昼のお祈りが終わったすぐ後……くらいだろうか。
バジリカの中でも特に
入ってすぐの
そんな小さな
「………………」
……やはり聞こえる、誰かの足音。
そしてそれは、落ち着いた
「……やあ。こんにちは、お嬢さん。この場所で誰かと会えるなんて……いつ以来だったかなあ」
自分をお嬢さんと呼ばれ、少女が少しだけ口を
「お嬢さんじゃなくて、私はリリーよ」
「ごめんよ。こんにちは、リリー」
そう自身の言葉を言い直してから、ゆっくりと中庭の奥に向け足を動かす。
右手には園芸用の
見れば中庭のあちらこちらでは引き抜かれた
「スコップさんは……ここで何をしてるの?」
「ん? 何って、ここが僕の世界さ」
「世界……」
作業の途中であろう場所の前で立ち止まった若い男性は、持っていた道具を地面へと下ろし、振り返って言葉を続ける。
「ほら……周りを見てくれ。まだまだ物足りなくて、つまらないだろう?」
「うん。つまんない」
「ははは、
「……花?」
「想像しただけでも楽しそうだろう? ここを知っている者だけが
若い男性は
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