031 高ぶる気持ちと膨らむ頬①
いよいよ、その時がやってきた。
昼のお祈りを終えたばかりという事もあってか、人々のざわめきがまだまだ強く残っている礼拝堂の
そこに見えるのは笑顔を
どうにかその場で
「━━ねーぇ、なにをするのー?」
「つまんなーい!」
「今ね? 一生懸命に準備をしているところだから……もう少しだけ、待ってあげてね?」
「(……なあ。さっき公園の方でさ、すっげーでかいケムシを見つけたんだ! こんなとこにいるより、一緒に´つっつき´に行こうぜ?)」
「(……ほんと!? いくいく!)」
「そこっ! コソコソしない! 私には全部、ちゃ〜んと聞こえてるぞっ!」
周囲のみに
何やら、
「なんで? ……どうして? もう始まってるよ?」
……以上が、シスタースズシロの
そのため、お祈りが終わった時点で自分は真っ先に行けるものだとすっかり思い込んでいた少女は、大好きなクマのぬいぐるみを
「……ごめんなさいね、リリー」
一体のドールをそばに置き、
「私達にはお
「でも……!」
「それに……もし全員で
「…………。……わかった」
しょんぼりとして、その顔を
シスタースズシロにも初めて見せるような……とても
それをしたところで、´世界´が自分にとって
少女が一番、知っているのかもしれない。
少女は一番、分かっているのかもしれない。
「ですが……」
「
小さく顔を上げた少女の前に差し出される、両手に
「みんなよりも先に、少しぐらい特別があっても……ね? 何が出たとしても、´うらみっこ´は無しですよ?」
ボードに張られた紙には様々な色で
「…………」
少女はそれを食い入るように見つめた後、クマのぬいぐるみを片手にゆっくりと箱の中へ手を伸ばし入れ……最初に
「…………」
そして、難しい顔のままに紙を開いていく少女の不安げな横顔が……
少女やクマのぬいぐるみと同じ、お
折り目によって多少
「あら……おめでとう。きっと、
「……! 聞こえた? 一番だよ、ロッコ!」
クマのぬいぐるみを抱きしめ、そう言葉をかけている少女の前で……シスタースズシロは誰にも気付かれぬよう、持っていた
「あとは…………そうね、目の前にいる´一番さん´にお願いをしてみようかしら」
「……? お願い?」
「ええ。この箱をみんなのところに持っていって、さっきと同じように一枚ずつ……他の子達にも紙を引いて
´一番さん´じゃなくて、私はリリーよ。
そんな決まり
「うん、いいよ」
「それじゃあ、お願いね?」
「お師匠様お師匠様っ」
「´今の´ってもしかして、最初から一番乗りの紙しか入れてなかったり……ですか?」
「あら、何の事かしら。あれは
「もうっ。お師匠様ったら、本当にリリーには甘いんですからぁ~」
箱の中からそれぞれで紙を引き抜いては、
やがて━━
……くじ引き。
この
しかし、結局のところはそのほとんどが運という、何にも
「…………」
「えへへ、よろしくねリリー」
ニコニコと笑い、目線を合わせるようにしゃがんだ若いシスターの
彼女が自身の人差し指をツンツンとさせている先では……クマのぬいぐるみを胸に
━━━━━━━━━━
「さてと……あっちの準備が終わる前に、私達もパパッと済ませちゃお~!」
礼拝堂からは
普段の業務とは使用
そしてもちろん、この部屋の管理担当はこちらにいる若いシスターである。
「ふんふふ〜ん…………あれ、ここじゃなかったか〜」
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