033 高ぶる気持ちと膨らむ頬③
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大聖堂の入口。
街の中央に位置するバジリカ全体としても、正面入口と
右から左……右から左……
ああ、これから自分も一緒になって
そう思うだけで少女の胸は高鳴り、目に入る物全てが何だか楽しそうに
「おっまたせ~! さあ、いこ~……って、あ〜〜っ!!」
キョロキョロ。ソワソワ。
思わず、その場で
「ずるいっ、私も私も!」
……
少しだけ遅れてこの場所にやってきた若いシスターの左手が、
「━━う……歩きにくい……」
ぎこちない動きでそう口を
それらの一部となり、周囲から寄せられる
見るからに力
そして、両親の間にわざわざ割って入り、
(歩きにくいだけなのに……)
少女のそんな
本来であれば、楽しみで
しかし、少女には
「あっ……見て見て、前の人達も私達と同じだね!」
いつにも増して、浮かれに浮かれている若いシスターの存在である。
ルンルンというような
「本当ですね、私達も家族みたいです」
「何言ってるのさ~私達は家族だよ、か・ぞ・く! 何も変わらないんだから~……ほらっ!」
話に乗ってきた
「うおっほん! ……私はお父さんじゃ。よいか、自分のした事は必ず自分に返ってくる。良いことをすれば良いことが、悪いことをすれば悪いことが返ってくる。
で、あるからこそ。自分以外の全てに対しては、最大の愛で
「その
「あれ? あはは、違ったか~。まあ、今のはお師匠様からの受け売りなんだけどね~」
「…………。家族……」
けらけらと笑う若いシスターの声の後ろに隠すかのよう、ポツリと
……そうこうしているうちに見えてくる、街の
少々特殊な形状をしているこの門は街全体を囲っている壁よりも門の部分が突き出すように造られており、それは短い通路と言っても
分厚い壁と同様、その充分すぎる幅の広さから門の内部には
街の外で
大量の商品が詰め込まれた荷馬車に、増員された警備用ドール……
「うわっ、まだ外に出てないのに……この人の数っ!」
警備の
街の安全を
続々と並んでいく人の姿は
「どうしよう、このままじゃ時間が……」
「さすが初日……ですね」
「ちょ、ちょっと作戦……作戦タイム!」
若いシスターのその言葉に
「う〜ん……」
「どうしましょうか……」
「う〜〜ん……」
「ねえ、並ばないの?」
自身の前を横切っては、門から伸びる
「むむむむ…………そうだっ! あの手があった!」
腕を組んで難しい顔を見せていた若いシスターは手をポンと
「二人はちょ〜っとここで待っててね、すぐに戻ってくるからっ!」
そうして若いシスターは急いで
「━━ごきげんよう、
「おや、これはこれはシスター。こんな場所までどうされました?」
「実は……今、街の外には
「……ああ、シスターもそちらに
「い、いいえ……お待ちになって、
「……! なんと、シスタースズシロのお考えでしたか!」
「えっ!? え、ええ……そうですの。お、おほほ……」
「ふむ……。ですが、バジリカ側からの連絡はまだ何も━━」
「こ、この時期でしょう? わたくし達もとても
「……なるほど、そういう事でしたら!」
━━少しだけ暗い、街の外へと続く
すれ違う人々の表情は
やがて
離れていても分かる、想像よりも大きな
そして、見渡す限りの……人、人、人。
人口の少ない他の地域からも
……これこそが、
普段から見慣れている
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