029 あめ玉、何色、どんな味?③
「うっ!」
「ぐぐ……っ」
「えっ? ど、どうしたんだよ……!」
バタバタと倒れゆく子供達の姿に、本能的な
「お、おい! おまえら……」
もはや、そこにあるのは
ある者は
そして何を隠そう、ぐったりと倒れる子供達の口の中には……
「ううっ……にがい……」
「ま、まずい……」
「あれは……く、
強まるざわめきのなか、少年が
しかし奮闘もむなしく一人、また一人と捕まっていき……若いシスターによって
「━━ふっふっふ。あとはアナタだけねぇ……?」
「うっ……」
「食べ物の
目の前からは
「く……っ!」
この
「……!! ……´婆ちゃん´! こっちこっち! おーい、こっちだって!」
「ぷぷっ……なあに、それ〜。そんな簡単な手になんか、引っかからないわよぉ? だって、こんな場所にお師匠様が来る理由なんて……理由…………なんて……」
はて、私はどうしてこんな場所にいるんだっけ? ……若いシスターは考える。
…………。
そう……! ドール召喚に必要な
「……あっ!」
されども、それを思い出した時にはもう手遅れ。
自身のすぐ後ろで止まった、誰かの足音……
その存在を知らしめる、聞き覚えのある
両手を広げたそのままの姿勢で、ゆっくりと振り返る若いシスターの目に……ニコリ。優しげに
「あっ」
「あらあら……こんなところで出会えるなんて、
「あ、はは………で、ですね、お師匠様……」
持ち直す
「それで?
「そ、それは……この子がキャ、キャンディを……その…………」
「……キャンディ?」
「たくさん
「まあ……私にも? でも、いいのかしら……他の子たちに━━」
「いーの、いーの! みんな、って言っただろー? 残りは婆ちゃん達のために、ちゃんと取っておいたんだ!」
「そうなの? それなら…………ありがとう、時間が
少年による
思い返すだけでも口の中を苦くしてしまう様な感覚にその身を
(……あれ? これってもしかして……
記憶の中ですらも
そんな彼女が´アレ´を口にすることで
口へ入れた
それとも、顔を引きつらせながらの
「…………(こくり)」
何も言わず、
どうやら、両者共に考えは同じだったようで……そこに若いシスターから返される小さな
「なあ、婆ちゃん。最近はドールの召喚ばっかやってるだろ? 疲れた時にはナントカって言うし、ずっと持ってたら
「そ、そ~ですよ、お師匠様。見てください、私も同じの
目的の
「私達はまだ職務中なのですよ? まったく…………。ですが、せっかく
そして今度は、
ここぞ! という
「(……!!)」
ドキドキワクワク。二人が
「あら? これは……」
「(きたきた!)」
「
「(あ、あれ……?)」
予想とは
なんで? という表情を見せる若いシスターに、少年の方も不思議そうな様子で首を横に振る。
「お、お師匠様……? えっと……その……」
「……? さあ、私達は早く戻りますよ」
「あ、はい……」
「……あなたも、昼のお祈りには遅れないようにね?」
「へーい」
そうして
━━その後のドール召喚の真っ最中。自分の口の中に´アレ´が入ったままだった事を思い出し、若いシスターが人知れず
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