044 とっても楽しい道化市④
「うぅ……。ねえ、私の頭……へこんだりとかしてなぁい?」
「……大丈夫、何ともありませんよ」
「本当に本当? ほら、触ってみて……」
「(なでなで)…………あ。ここ、´たんこぶ´が出来ちゃってますね」
「うう、やっぱりぃ〜……」
グスグスと鼻を鳴らす若いシスターは
「…………。記念に何か買ってもいいって、特別にお師匠様からみんなの分のお小遣いをもらってま〜す……。帰り道で色々と見ていこうね……ぐすん」
少女と
「━━リリー、これとかどう?」
そこには色とりどりの
「おっ、それが気になるとはお目が高い! ……いいかい? これはね、こうやって遊ぶんだよ」
店先に並べていた
「……よっ、よっ、それっ」
順番に一つずつ素早く空中へと放り投げると、慣れた様子で両手を使ってクルクルと回し始める。
それを
「…………あっ」
「あれ? リリー、買わなくてもいいの?」
若いシスターの言葉にも
気にしなくていいよと変わらずの営業スマイルで笑う
「はあはあ……リリーぃ、待ってよ〜!」
「やあ、こんにちは。でもごめんね、今日はもう´おしまい´なんだ」
自分の元に
「……はあ」
片手でも簡単に取り出せてしまうような、数枚の
それらを見つめ、浮かない顔で軽く
「……ん?」
……
一体、誰が置いたのだろう?
演奏に夢中で気が付かなかったのだろうか?
そう思いつつも
ふわりと
「…………」
そんな
「ん……なんだい? まだ僕に何か用かな?」
「帽子……」
「……?」
「帽子を出してっ!」
突然の言葉に少し
「あなたの音はとても
少女の手から、一枚の
「今度会った時にも音を聞かせてくれたら……また、このお花をあげるね」
そう言ってにっこりと笑った少女の顔の前では、
「リリー、本当に良かったの?」
「うん、いいの」
「……そっか」
三人は手を
その後ろ姿を、少女から
「━━ねえ、リリー。今日の
街に戻り、バジリカへの道すがら若いシスターが少女に問いかける。
そんな問いに対し……少女は
「うん! すっごく…………´楽しかった´!」
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「へえ……本当に動くんだな……」
その日の夜。
一日に行う最後のお祈りを終えた後の礼拝堂にて、
「でもよー、キジュツシ……だっけ?
「……本当だもん」
「姉ちゃんは姉ちゃんで、その事についてはよく覚えてないって言うしさー……」
やんちゃそうな少年はそう言うと、奥の方でグッタリとした様子で
「ちぇーっ。出てくるなら出てくるで、俺が見に行く時にもちゃんと出てこいよなー……。えーっと、なんだっけ……そう、キジュツシ!!」
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