第12話 1学期終了 7/21(火)~24(金)
本日2話目です。ご査収ください。
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連絡先交換した翌日の日曜日からスズカとは毎日メッセージのやり取りをしている。日曜日こそやり取りは1時間位だったけれど、昨日あたりからはお互いにおはようからおやすみなさいの挨拶まで、時間があるときにはちょくちょくメッセージ送り合っている。
SNSなんてIDやアカウントというものは以前から取得していたが、殆ど使っていなかった。どのみち仲間内の連絡先しか知らないから、用事があれば学校で話せば事足りるし、休みの日はバイトばかりなので連絡を貰ってもその日のうちに返事を返さなかったりしていたら、俺への連絡方法が電話になってしまっていた。みんな、スマヌ。
その俺がまさかこんなにも毎日SNS漬けになるなんて思いもよらなかった。
最近ではスズカの学校のこと聞いたり、逆にこっちの学校のことを話したり。お互いの友達の話や双海やスズカの兄の話もした。それに今度はしっかりと順を追って、駅の彼女のことも聞いてみたりもしていた。
駅で彼女の写真を撮ってスズカに見せればもしかして分かるかもとも思うが、勝手に彼女の写真を撮るのはいくらなんでも失礼すぎる。というより通報モノだよな。
先日、仕方なく彼女の似顔絵を描いてスズカに送ったら、爆笑してもらえたので何よりです。
駅の彼女についてスズカはやはりわからないということなので、もしかしたら学年違いなのかもしれない。スズカは駅の彼女についてあまり話したくなさそうな雰囲気を感じさせたので、余程の変化がない限り今後は聞かないことにしようと思う。
駅の彼女とは毎朝、当然のように目が合うし、最初の頃と違って見つめ返してくるだけではなく、ちょっと微笑むようになってきている。俺は特に何もしていないのに彼女の対応というか反応が少し変わっていたりする。そういや1週間不機嫌になられたこともあったよな。
俺としても彼女のことをちょっと可愛く思ってしまっていることは否めないし、毎日の楽しみにもなっているような気がしないでもない。ただ――
――ただ彼女の目的が皆目見当がつかないので、ちょっと怖いと思うこともある。単に俺を揶揄かうため? なんの変哲もない男子学生にそんな事をしたところでなんの意味もないと思う……うーん、わからん。
同じ駅を使っているようなのでスズカが万が一にも近くにいたらと思ってメッセージ送ってみたけど、直ぐに「ごめんなさい。いま直ぐ返信できないから後でね」と返事が来たので無理そう。無理っていう割には返信が早かったのはさすが女子高生、ということなのだろうか? 対する俺はものすごくスマホの文字入力が遅い。先日、スズカへの謝罪メッセージを書いていたのを雅義が見ていたらしく何をもたもたやっているんだと思ったと笑われた。俺の最速だったというのにな……
俺がスズカにメッセージしている間も下り線ホームの彼女は微動だにせず俺を見つめている。
明日からは夏休みになるので、通常の登校は今日まで。明日からも数日は学校に行くことになるが、それは俺だけの話だ。
暫く会えなくなるのか、それとも今日で今生の別れとなるのか?
電車の出発後、ドア越しにすれ違った際、少し憂いを含んだ瞳にちょっと引っかかるものを感じたが、それが何なのか答えが出る前に彼女の姿は列車ともに彼方へと消えた。
1学期の終業式が終わり生徒は各教室に戻り、夏休み前最後のHRに望む。
うちの学年は一クラス40人で7クラスある。都合280人欠員増員なし。
期末テストは既に生徒に返されており、大体の成績の予想はついていているのだろう。今更慌てたところで何も変わらないけどな。
俺の期末テストでの学年順位は32/280位だった。1年のときの最高順位が46位だったので、かなり上位に上がったことになる。自分の学力が上がった気があまりしないので上位陣が落ちてきたのか? いやいや自分の実力が上がったと思っておこう、そうしよう。
因みに何時も一緒のみんなの成績は以下の通りだ。何時も見せ合いしているので内緒でもなんでもないのでお互いに知っていることなんだ。
加藤雅義70位。君島直克120位(英語赤点)
吉田 新99位。久保田陽向6位(‼)
佐嶋水琴162位(物理と英語が赤点)
来週から各教科とも補習授業があってその後小テストがある。そこで合格ラインを超えないと宿題が倍増するという仕組みになっている。当たり前だが無限補習とはならない。
明日から直克と水琴を除くと俺たちは完全なる夏休み突入となるわけだが、先週話した通り宿題をやってしまうために登校をしてくる。
陽向いわく「補習授業を二人が受けている間に宿題やっちゃおうよ。7月いっぱいはエアコン使い放題で自習室が自由に使えるんだって」とのこと。
学力が学年トップ10入りする陽向はいうことが違うな。見習っておこう。雅義は特に見習えよ。
――――放課後。
「いきなり話の腰を折るようで悪いんだけど、明日の土曜日と30-31日は無理なんだ。どうしてもって頼まれてバイトが入っている。26-29日ならOKなんだよな」
「無壱はずっとバイトのシフトのこと言っていたもんな。それは仕方ないさ。俺と陽向も26日の日曜日は空いてないから、27-29日でいいんじゃね?」
みんなそれで問題ナシのOKとなった。
3日間では宿題全部は終わらないだろうけど良いんじゃないかな。3日間もしっかりとやればかなり進むはずだ。
明日の土曜日、スズカはバイトの時間に誓鈴女子校の入学案内パンフレットを持ってきてくれる。他にも校内行事の広報とかも手に入れば持ってきてくれると言っていた。だから、明日は何があっても絶対にバイトの方に出社しなければならないのだ。ゼッタイだ。
あまりにも何気なく言うものだから、すごくびっくりした。スズカは生徒会役員さんなのだ。
俺なんか体育祭委員で、既に体育祭は終わったけど、100m走のゴールテープを持つ役割だったもの……
「あの、スズカは勉強もやっぱりできるのか?」
「まあ、それなりにできますよ」
「やっぱりそうなんだ。俺なんて妹に中学の勉強のこと聞かれてもちゃんと答えられない事もあってはずかしいよ」
「そんなことはないですよ。得手不得手ってものもありますしね」
慰められた……
そんなこんなで高校2年生の夏休みは始まったのだった。
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夏休みが楽しかったヒトも辛かったヒトも★を押したら幸せになるかもよ?
ということで、応援よろしくお願いいたします。
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