第35話 美味しい唐揚げ 8/17(月)
大変遅れまして申し訳ありません………
大家さんの方を仕上げておりました。無事終話となりましたのでよろしかったらそちらもお願いします。
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集合時間は高樹駅に10時になっているが、実際には10時半頃に全員集まれば御の字だろう。
去年は9時半に集合だったけれど、結局全員揃ったのが10時半だった。因みに最後に来たのは水琴だった。
駅前商店街の先に住んでいる集合場所に一番近い水琴が最後だった。
9時半集合は無理ということで今年は30分繰り下げて10時になったけど、やっぱり10時半過ぎになると思う。
だって、俺達3人の到着予定時刻が10時半ちょっと過ぎなのだから間違いない。
電車の遅れが原因なので俺達は悪くないが、待たせてしまったのには変わりないので申し訳ないとは思う。
そしてやっと高樹駅に着いたのだが、いるのは水琴唯一人。今回は水琴が一番乗りだったらしい。
よく考えたら、みんな電車でここまで来るのだからダイヤが乱れれば全員遅れるんだよね。電車に乗らない水琴以外は。
「おはよう水琴。先に紹介しておくな。こっちが有働凉風、俺の彼女な。で、こっちは妹の双海。で、彼女が佐嶋水琴。一週間よろしくな」
「よろしく~ 水琴って呼んでね。むーちゃんの彼女可愛すぎぃ~ 妹ちゃんもキュートぅっ! カワイイ~ むーちゃんにはもったいない!」
「「むーちゃん?」」
「二人共気にするな。そこは流しておけ」
その後ぞろぞろと全員集まり、同じ様に挨拶を交わす。水琴と陽向がスズカと双海に夢中になっている。いままでメンバーに女の子は二人だけだったからかな。
既に二人共馴染めているようで良かった。新と直克が泣いているのがよく分からないけど……悔し涙だって? ナニソレ?
去年は目的地最寄り駅まで電車で行ったが乗り換えの度に大荷物を移動させるのが辛かった。
今年は目的地の近くのターミナルまで高速バスで行くことにした。なんと出発地の一つに高樹駅があったので11時45分発車のバスに乗車する。
乗り換えもなく1回で目的地まで着くし、料金もリーズナブル、時間だって電車で行くのとさして変わらない。急な予定に予約が取れて本当に良かった。
スズカと双海の追加も出来たのは助かった。もし駄目なら俺達だけでも電車で行くつもりだった。
「みんな昼飯と飲み物は用意してあるよな? ないなら今のうちに買っておけ。高速のSAでは休憩時間で飯は食えないぞ」
一応、リーダー役の雅義が確認をとって問題ないことを確認。ぞろぞろとバス停まで歩く。
バスの席は片側2席なので窓側に双海隣はスズカ。通路挟んで陽向で反対側の窓側が水琴。
双海の前の席に新でその隣が俺。通路挟んで反対側に雅義と直克というふうに座ることにした。
初対面の二人が不安にならない且つ周りともコミュニケーションが取れるように一応配慮したつもりだ。
「スズカ、双海。二人共大丈夫か?」
「ん? 大丈夫だよ。ね、双海ちゃん」
「うん、みんないい人で良かった。お兄ちゃんの友だちだから大丈夫だとは分かっていたけどみんな優しい人で良かった」
「みんな! 聞いたか? 嬉しいじゃないか! 今回は良い旅行にしようじゃないか! ねっ、双海ちゃん」
なんだか知らないけど直克がやたらと張り切っている。宿題が大分捗ったらしく気持ちに余裕があるのだろう。
そういうことにしておいてやる。双海になにかしたらただじゃおかないからな?
「カガミ、顔がこえーよ! 誰も変なこと妹にしないって!」
「あ、ああ。そうか。そうだよな、あはは」
「そうだよ無壱ちゃん。過保護すぎると嫌われちゃうぞ?」
新に続き陽向にまで揶揄われる。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。私のこともっと過保護にしても嫌いにならないから、もっともっと甘やかしていいよ~」
「ふんっ! どうせなら俺はスズカのことをもっと甘やかすんだ、よ……」
おっと……家で話している調子で余計なことを言ってしまったぞ。
周りを見渡すとスズカは真っ赤だし、陽向と水琴は目を輝かせて俺を見ている。双海は呆れ顔。
男連中は口から砂糖をドバドバ出していた……
ああ、周りの他人の方々まで……
俺のその言葉をきっかけに女の子たちは恋バナに夢中になってしまった。
途中途中俺や雅義が揶揄われることもあったけど、概ね女の子は4人で仲良しになってくれたようだ。
両窓側の二人の男は「来年こそは……」とブツブツ言っていたようだけど来年は受験があるから旅行なんていかないと思うぞ?
お前らは去年同様、別荘近くに住んでいる瑞江ちゃんと孝江ちゃんと遊べばいいじゃん。
瑞江ちゃんと孝江ちゃんというのは、陽向のオジサンの奥さんの妹さんの双子の娘さんで去年は小学2年生だったから今年は3年生のおこちゃまだ。
陽向のオジサンの奥さんは3人姉妹なんだな。瑞江ちゃんと孝江ちゃんって陽向から見ると何になるんだろう? いとこ、じゃないよな。まあいいや。
彼女らがお前らと遊んでくれるかどうかは知らないけどな。
「とりま、飯でもくおうぜ」
「はーい、マー君。お弁当だよ」
今日も陽向は雅義の弁当を作ってきたんだな。日頃雅義の弁当は陽向が作っているから毎度のことと言えば毎度だな。
「無壱くん。おにぎりとおかずだよ、どうぞ」
「ありがとうスズカ」
「お兄ちゃん、私のもどうぞ」
「サンキュ、双海」
昨日3人でビデオ会議していたら、二人のどっちが俺の弁当を作るかで少々揉めた。
弁当ごときで彼女と妹が揉めて険悪になるのはご勘弁なので、おにぎりとおかずを半分ずつ作ってもらえるように頼んだ。
『楽しみにしているよ、お願いな。でも、どっちが美味しかったか? とか聞いてくるのは無しな。もし聞かれるんだったら俺はコンビニ弁当買うからさ』
先に釘は刺しておくことも忘れなかった。普段仲いいのに突然張り合い出すのとかホント無しな。
両端の男どもがまたもやどんよりしてしまったので、水琴が仕方なく二人に水琴の弁当箱から唐揚げを一つずつあげていた。
なんだか二人は少し嬉しそうにしているけど、あの唐揚げは水琴のお父さんの作ったやつだからな。朝聞いたので間違いない。
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