第32話 俺たち二代目? 8/11(火)

危ない危ない……下書きしていた一話をすっ飛ばすところだった(汗)

では。どうぞよろしくお願いいたします。

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 暫くして戻ってきたスズカに「申し訳ないけど今日はこれまでで帰ってもらっていいかな? 本当にごめんなさい」と謝れた。

 

『さっきの話は内密に。特にうちのお父さんには絶対に知られないようにお願いします』という言葉も付け加えられたけど、俺だってそんな話したくないから平気だって言っておいた。


 そんなこんなで昨日はぐったりとしてしまい、昼飯は国道沿いにあるの牛丼チェーン店で特盛牛丼卵付きで、夜は双海の作ってくれたチャーハンを食べたけど何を食べたのか覚えていない。いやしっかり覚えているじゃん。味がわからなかっただけだよ。


 どこの誰がいつどのように付き合ったり別れたりしても構わない訳だし俺にとっては関心さえないものだけれど、よりによってウチの父親とスズカの母親が昔そういう関係だったと聞くと若干もやもやする。いいや、若干では済まないな。だいぶもやもやしている。

 ただそんなことを言ったものの、この事自体何十年も前に過ぎ去ったことで、今はうちの両親もスズカの両親もすごく仲良しラブラブさんなのでおかしなことが起こりそうな気配が無いのがせめてもの救いなんだろうという思いに至り少し安心したりもする。


 双海は構ってほしそうにしていたが、今日は勘弁してもらって風呂も早々に入ってベッドで寝転んでスマホゲームで気を紛らわしていた。

 

 ピロン♪


 ゲームをしている最中に通知がきた。


『今日はほんとにウチの母がごめんなさい。口が酸っぱくなるくらいに叱っておいたので許してください。

 母も離れの座敷で2時間正座して反省させたので、もう余計なことは……たぶんしないと思う。しないと良いな……』


 ――謝罪と反省の言葉が続く。スズカは悪くないし、光枝さんだって特に悪い事はしていないのでそこまで気にすることはないと俺は思うんだけど――


『なので、明日もう一度お昼をごちそうさせてください。二回も続けて呼んで申し訳ないけど、どうかな?』



 ――ということが昨晩あって、本日も俺は2日連続でスズカのお宅へ訪問している。


 目の前には土下座状態の光枝さん。ホントやめてください。心臓にも精神にもキますので即時おもてをお上げください。


「本当にごめんなさい。よっちゃんと今更何かをどうしようとかは絶対にないので安心してください。安心安全の光枝を心がけます」


 やっぱり少しはおふざけを入れないといられないようだな、光枝さんは。まあ俺もびっくりしただけで怒っているわけではないのでこれで終わりにしてもらおう。

 

「もう大丈夫です。まだ父には何も言っていませんが、どうせいずれは分かってしまうことなので近々こっそり先に伝えておきます。なんで、これで終わりってことでお願いします」


「ありがと~ 昨日は凉風にこれでもかってくらいこってり絞られたから無壱くんにまで叱られたらどうしようって思ってたの。今日は私もお料理頑張るからご賞味あれ」


 ルンルンしながら光枝さんは台所に消えていった。

 

「ごめんね、あんなお母さんで」

「楽しくていいじゃん。この前スズカが来たときのうちの母親もどちらかというと同じような感じだったでしょ?」


「……言われてみれば似ているかもね」

「憶測でしかないけど、うちの父さんの好みなんだろうよ。ああいったタイプの女性が……」


「ナルホド?」

 なんとなく分かったような感じのスズカ。光枝さんを見ていると自分の母親が時たまダブるときがあるんだよな、本当に。


「ああ、昨日ね。無壱くんのお父さんの話のついでにお母さんの高校生の時のアルバムを見せてもらったの。見てみる? 面白いよ」


 いたずらっ子のような目で俺を見上げてくる。うーん、スズカ、可愛い。アルバムもいいけどスズカをずっと見ていたい。変態っぽいのでしないですけどね。


「み、見ようかな?」

 父さんの高校の卒アルなんて見たこともないし、これまでも見たいと思ったこともないけど、昨日の話から今は興味が尽きない。


「じゃ~ん」

 ‼ マジか⁉


「これ、俺とスズカじゃね? これじゃ俺たちまるで二代目じゃん」

「だよね~ そっくり。やっぱり親子だよね」

 

 やや俺よりも細い体つきだけど、これが高校生の時の父親で俺にそっくり。俺が父さんにそっくりなんだろうけど。

 隣で父親の腕にしがみつくように腕を組んでいるのが光枝さんなのだろうけど、まるでスズカだ。ほんと瓜二つ。

 髪型ぐらいしか違いがないのではないだろうか?


(あ、ああ。父さんがスズカを見て怪訝な顔をしていた訳が分かった。これだけ似ていれば、なにか感じるところがあるんだろうな)


 それにしても父さんはスズカが光枝さんの子供だということは気づいたのだろうか?

 何も聞いてこないということは気づいていないか、若しくは光枝さんの話のようなことを勘ぐられないようにするためか?


 機会をみて父さんにスズカは光枝さんの娘だってことは話をしておこう。父さんのためではなく俺とスズカの心の平和のためには絶対に必要だからな。


「凉風! 何しているの? 早く始めるわよ~」

「はーい。今行くよ~」


 アルバムを見ながら待たせてもらうことにしよう。何が出てくるのか楽しみだな。


 因みに今日凉太郎さんは道の駅のイベントに駆り出されて夜まで帰ってこないらしい。会社は休みでも農業関連で休みが潰され泣いていたそうだ。

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