第33話 デートか?! デートなのか!! 8/15(土)-①
世間一般的にお盆という期間に入る。
8月13日の迎え火から16日の送り火が主流派らしく、他にも7月に行ったり日付が少し違ったりといろいろあるらしい。
なのでお盆の始まる明日の前日、今日8月12日からお盆の休みが始まるところが多いと聞く。
俺は関係ないし、うちの親も夏休みはとっくにとってしまっているので、今週もコレと言った予定はない。
15日の土曜日は母方の祖父母の家に行って線香をあげて、翌16日には父方の伯父の家に行って線香あげる。
お盆のイベントはこれだけだ。
母方の祖父母は二人共元気で、しかも隣の市に住んでいるので結構な頻度で顔を合わせている。
お盆だからと言って泊まりに行くこともないし、そもそも自宅から車で20分ほどしか離れていないのでそうそう泊まるようなこともしない。
父方の祖父母は、残念ながら俺が5歳位のときに自宅の火災で二人共亡くなってしまった。同じ敷地内に叔父の家があり仏壇があるので線香を供えに行っている。
実家が全焼してしまったので、実家に置いてあった父の昔の思い出の品等も全て灰になってしまっている。
当然光枝さんとの思い出の品や写真があったとしても既に灰になっているだろう。
このお盆期間中はスズカのうちも仏壇があるので親戚が訪ねてきたり、お兄さんが帰省していたりと簡単に遊びに行ける環境では無かった。
それでも夕方暗くなるチョット前辺りには毎日逢っていたんだけどね。
15日の午前中は祖父母のところに行き、ジジババ孝行をしっかりと行った。これが正月のお年玉に結構利いてくるんだよ。
午後はスズカと待ち合わせして、隣町に旅行に持っていく衣服や細々としたものの買い物に行く予定だ。
夕方には双海の夏期講習も終わるのでスズカと一緒に迎えに行き買い物を一緒にしたら、夕食を駅ビルで食べてから帰る予定。
あと、双海のリモート授業はOKになった。やはりお盆前後の時期は帰省してしまう受験生もいるようなので臨機応変に対応してくれるそうだ。
「じゃあ、無壱は駅で降ろせば良いんだね」
「ああ、それでお願い。双海の分も買い物してくるから7時過ぎぐらいに迎えに来てもらえる?」
「それはお母さんが行くわ。スズカちゃんも送っていったほうが良いわよね?」
「ああ、頼む。あ、そこで降ろしてくれ」
母さんの実家から直接駅に向かってもらい駅前で降ろしてもらう。
帰りも車での迎えなので荷物が多少多くても気にしなくて良いのはいいな。
降ろされた足でそのまま駅の改札に向かうとスズカは既に改札前で待っていた。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
「ううん。私も5分ほど前に送ってきてもらったばかりだから大丈夫だよ」
「帰りはさ、うちの母さんがスズカのことも送っていくって言うから迎えはいらないって言っておいて」
「えっ、申し訳ないよ」
「俺のほうが何度も送ってもらっているんだから気にしないでくれよ。って俺が運転するわけじゃないけど」
「あはは、分かった。言っておくね」
映画デート以来の久しぶりのお出かけに俺もスズカも結構浮かれている。
駅の改札を抜けた後は終始手を繋ぎっぱなしだ。
隣街の駅に着いたけど、今の時刻は昼日中の1時過ぎ。とてもじゃないが外をぶらつく気にはなれない。
それに今日の買い物だって、駅ビルと地下道またはペデストリアンデッキで繋がっている近隣のショッピングビルで十二分に事足りる。
なので、絶対に外には出ないことにする。暑いの、ムリ。
最近はよくこの駅に来ることがあるけれど、うちの最寄り駅との格差には驚くばかりだ。ホント数駅違うだけでここまで都会度が違うものか?
この駅にいる人の数とうちの近所にいるスズメの数が同じぐらいじゃないか?
「無壱くん。なんだかすごく馬鹿げたこと考えている顔しているよ?」
「うう。スズカはなぜおれのこころのなかをよめるのだい??」
「だって、大好きな人のことはたくさん知りたいじゃない?」
「……突然恥ずかしいって!」
ヤバい。自分でもバカップルぶりがわかるくらいのバカップルだわ、俺たち。
周りにいる人たちがコーヒショップに何故駆け込んでいくのがよくわかる。
洋服や雑貨店などを周り、旅行に必要なもの必要じゃないものを見ながら買い物を楽しむ。
俺の両手だけでは足りずにスズカの両手も買い物袋でいっぱいになる。
「結構買っちゃったな」
「一旦カフェにでも入って纏めちゃおうか?」
「そうだな。いくつか纏めてロッカーに預けておかないと双海の買い物も少しあるからな」
「あ、あそこにカフェがあるね。あそこにしよう」
それなりに歩き回ったし、休憩するのにも丁度いいかもしれない。
時間的にも一休みした後ぐらいで双海を迎えに行けば丁度良く合流できるだろう。
カフェに入ると時間的にも空いている時間帯らしく、空いている席ならどこでもどうぞと言われ少し広めの席を選んで座った。
「思いの外買うものあったね」
「1週間分だからな。スズカのキャリーケースも買ったのだからその中に入れればだいぶ手持ちは楽になりそうだな」
「いらっしゃいませ~ お冷です。メニューはこ、ち……スズカじゃない? おとこっ!! どうした? デートか?! デートなのか!!」
「え? あ、うっ! 美咲!」
「ん? みさき? スズカの知り合いか?」
「こんにちは、はじめまして! 私スズカの友人の井上美咲です。あなたはスズカの彼氏さんで間違いないですよね? よね?」
「おお、おう。そうだけど?」
「わー! やっぱりぃ~ スズカったら最近お洒落にこだわっているようだからなんだか怪しいな~って思っていたら彼氏さんできたんだ!」
「お、落ち着いて。美咲!」
「え~ スズカぁ~ ずるくない? スズカだけ彼氏できて私に浮いた話一つないのっておかしくない? おかしくない?」
「美咲、あとでちゃんとお話するからここは静かにバイトに戻って?」
「え~ 仕方ないな。ここは私が二人にお祝いとしてアイスカフェラテ奢ってあげよう」
「いいよ~ 美咲のバイト代が減っちゃうよ」
「大丈夫。私の練習用のやつだから元からただだし。にひひ」
そう言うと美咲ちゃんは去っていった。嵐のようなヒトだった……
スズカとは違った感じの元気娘と言った感じで、兎に角圧がすごかった。
俺なんて「おお、そうだけど」しか話していない。
スズカなんて、魂が抜けてしまったように呆然としているだけだもん。
彼女、カフェラテ持って、戻ってくるんだよな……
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非常にリアルが忙しくなってます。なるべく更新はするようにしますが遅れても見捨てないでね♡
★も頂けましたらやる気出るかもしれません?
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