第11話 猫の意味 7/20(月)

今日も2話投稿しますのでよろしくなお願いします!


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 1学期も残すところ今週の5日間のみ。しかも今日からは半日の短縮授業になるので午前だけで放課になる。それなので午後はバイトし放題だ。バイト代は月末締めの翌10日払いなので、今からでも追い込めばお盆明けに遊びに行く軍資金になる。


 今日か若しくは明日辺りから期末テストの結果が返ってくることになるのだが、俺は特に思うこともないが、赤点必至の直克と水琴は戦々恐々なことだろう。

 無論微妙な線上にいると自分でも言っていた新も同じかもしれない。

Bborder線上のアラタ』って言葉が浮かんだけれど、口にしたら即負けな気がしたので忘れることにする。





 駅付属の月極駐輪場に自転車を置いたら駅の改札を抜ける。

 朝からギラギラとした日の差し込む上りのホームに立つと今や日課となってしまった、今朝もいるに違いない下り線ホームの彼女を探す。


(彼女はまだ不機嫌なのかな?)


 俺は自分でもなぜ恐る恐るなのかは分からないけど、反対の下り線ホームにいるであろう彼女に視線を向ける。


 いた。


 …………すっげーニコニコしている。


 俺と目が合ってもニコニコしたまま。


 先週と違い視線を全く外さないし、なんなら若干頬を染めているぐらいの感じでニコニコ。


 あまりの可愛らしさにこっちが意味もなく照れてしまう。


 先週の棘のある態度は何だったのだろうと思うくらいに別人のような態度になっている。


(あ、もしかしてだったのかな? 双海もそういう時が確かあったな)


(…………)


(わ、すごく睨まれた。違うって意思表示? つかココロ読まれている?)


 今朝は口元もほころんでいて何時もより一層可愛らしさが引き立っている。

 今日の彼女はポニーテールにうっすらと化粧をしているようで、唇にもリップか口紅か薄いピンクの色がのっていて朝日にキラキラと輝いている。




 見惚れている場合ではない。あんなに可愛い娘が俺のことを見つめてくるのだろう? という問題は一切解決していない。

 そもそも未だに彼女がどこの誰だか分からないし、唯一わかったのはスズカが通っている誓鈴女子校の制服を着ているということぐらい。


 スズカに聞けば分かるかな?


 スズカとちゃん付けするのは気持ち悪いからスズカにしてと言われたのでは取って呼び捨てで呼ぶことになった。

 折角連絡先交換したのだし、教えを請う立場のこちらから連絡を先にしてみないと失礼だと考え、昨夜お礼を兼ねて世間話をスズカとしてみた。

 ホント俺からする話ってつまらないなと会話、文字だけど、が終わったあとに自己嫌悪に陥った。これじゃ俺の話は面白くないと言い放つ水琴に言い返すことすら出来ないのは当たり前だと思うよ。

 でもスズカはいい子なので、俺のつまらない話にも笑ってくれたようだし、1時間はメッセージのやり取りが続いたから御の字だよね?


 閑話休題。


 俺は7時27分始発の上り列車に乗り込み彼女とは何時ものように別れたあと、下り線ホームのあの娘の特徴を書いてスズカにメッセージを送っておいた。


 直ぐに既読はついたけど返信はない。

 朝の忙しい時間帯だろうしそれは仕方ない。


 無駄に調べてもらったりしたら申し訳ないので分からなかったらそれでいいから、とだけつけ加えておいた。

 暫くしてスズカから、不機嫌な猫のスタンプが帰ってきたのだが、この意味が分かんない。女の子とするメッセージのやり取りってこんなにも高スキルが必要なの?




 1時限目と2時限目は通常の授業が行われた。テストの採点がまだ終わっていないとのことで、返ってくるのは双方とも明後日とのことだった。

 俺的に良くも悪くもない点数だと思うので、戻ってくるのが何時だろうと構わないけど、期末テストの後なので授業そのものに張り合いがなくつまらない。

 学習なんとか要領の指定だか規定だかなのでやらないわけにはいかないらしいけど。

 ……2時限目はチャイムが鳴る前のちょっと早めに終わったので居眠りせずに済んだ。


 休み時間になると雅義と陽向の二人がニヤニヤしながら寄ってくる。


「無壱よぉ~ 夏休みを直前に彼女ができたんだって?」

「……雅義、それは違う。バイト先の同僚の娘だよ。妹の志望校に通っているから色々教えてもらおうと思って連絡先聞いただけだよ」


 耳が早いな。なんでスズカに連絡していることもう知っているんだ?

 水琴か? 朝ちょっと話したことをたぶん既にみんなと共有しているんだな!


「へー それでその学校のことを聞く前に駅の子のこと聞いちゃうんだ」

「それじゃ、その子も怒っちゃうかもね」


 陽向が加勢してきた。


「まじか……」

「まじだよ。連絡先を教えてくれたんだもん。少なからず無壱ちゃんには好印象持っているとは思うんだよねぇ~ でないといくら理由がっても、あたしだったらそんなに簡単に連絡先を教えたりしないもん」


「無壱は女心が分かっていないし、水琴の口の軽さも分かっていないなぁ」

 雅義の言うとおりなので、反論ぜずに頷くだけにしておく。


 そうか、それはほんとうにスズカに悪いことをしてしまった。

 あの不機嫌な猫のスタンプってそういった意味だったんだな。


(うっわ、俺って何やっているのだろう? スキルの問題でなく俺の常識がなかっただけじゃん!)


 スズカには直ぐにでも謝罪のメッセージを送っておかないといけない。短い休み時間の間に俺がスマホを使い始めてから最速で謝罪のメッセージを書いて送信した。


 メッセージ送ると直ぐ既読がついて、返信もすぐ来た。

『ちょっとイヤだったのは確かですけど、気にしないでいいですよ。妹さんの受験とは関係ないことでもカガミさんの話は面白いからどんどんしてくださいね。そんなことを気にされて、メッセージを送って来てくれなくなる方が悲しいですよ』


(あー良かった。許してもらえたようだ)


 それにしても俺の話が面白い? それはどうかと思うけどな。











「おい、水琴。おまえ、みんなに今朝のことベラベラ話したな?」

「ん? 話したよ? 駄目だったの?」

「いや、駄目っていうかなんというか」

「もし駄目なら、他の人に話しちゃ駄目っていうか、そもそもウチに話しちゃ駄目だよ。ウチは忘れっぽいから駄目って言われても面白そうなら話しちゃうもんね、あはは」


「……そうだな」

「そうだよ~ むーちゃんも駄目だなぁ~ あははは」



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G線上のアリアという曲がありまして……

このダジャレが面白かったら★を無壱は言わなくて正解だと思ったら★をください。どの道★をください(笑)

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