第4話 この世界について

 産まれてから4ヶ月が過ぎたが、毎日の運動は欠かさない。


…………はい、ハイハイです。

 まだ赤ん坊なので出来ることは限られているのだ。仕方無いね。



 さて、問題は魔力である。全く上げ方が分からない。

 寧ろ上がらなさ過ぎて、『もしかして自分は使えないのでは無いだろうか?』という疑問を抱き始めた程である。



 マミーが魔法を使っているところは何回も見たことがあるけど、パピーが魔法を使っているところは見たことがない。もしかしたら適正みたいなものがあるのかもしれない。


 一度、マミーが使っていた呪文を聞き取ろうとしたことがあったのだが、何故か聞き取れなかったのだ。

 自分のシャンパーユ語のレベルでは足りないか、かのどちらかだろう。


 もしそうであったとしても、使えないという可能性も十分にある。

………使えなかったらどうしよう。折角異世界に来たのに魔法使えないとか嫌だぞ。


 一回自分で頑張ってみるか。


 ラノベとかは当てにならんな。チート持ちで最初から使えてたし。

 チート死すべし慈悲はない。


 

 

 よし、ここはハ○ー・ポッターでいくか。



 (ウィンガー○ィアムレビオーサ!)


 


……………しかし、何も起きなかった。




 


(エクスペクト○トローナム!)


 


…………………タヌキの守護霊は現れなかった。



 ま、まぁ、慌てるときではない。ハリー・○ッターに回復魔法なんて無かった筈だし、そもそも詠唱が違う筈だ。うん、きっとそうに違いない。


 結局は言葉が話せるようになってからマミーに聞くしか無いみたいだ。今のシャンパーユ語のレベルは4だし、もうちょっとのように思う。


 


 さて、この世界の野菜事情についてだが、前世と何ら変わり無かった。ニンジンもあるし、じゃがいももある。玉ねぎもだ。

 香辛料の類いは分からないけど、牛肉があればカレーも出来るかもしれない。


………カレールーの作り方を知らないので無理だけど。



 今の食事はまだマミーのおっぱ○だ。前世は男だった俺だが、そういう気持ちは一切湧かない。


 何故って?


 タヌキだから。


 



 まあ、最近はタヌキの顔も区別がつくようになってきたのだ。進歩である。


 結果、パピーはイケメン(タヌキにとって)でマミーは美人 (タヌキry)だった。


 クソッ! これが人間ならどれ程良かったか!


 まあ、そんなことを考えても仕方が無いんだけどさ。



…………話を戻そう。見た目は前世と同じ野菜。でも、俺は食べたことが無い。つまり味が違うかもしれないのだ。 


 なんか嫌である。見た目美味しそうなのに不味いとかどこのお約束だよ。


 ここは野菜とマミーの腕を信じるしかないようである。


 



 因みに、俺が住んでいるここら一帯はタヌキ(仮)の集落だった。目測100人はいる。


 他の獣人はいないようである。なんか想像してたのと違った。


 ラノベとかでは獣人の国、とかがあって猫とか犬とかいろんな種類が分け隔てなく暮らしているという設定が多かったが、違うらしい。


 念願の猫耳美少女夢にまで見た憧憬を見れるのは随分先になりそうだ。


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