第3話 レベルが全てではないらしい



 気になることがある。

 と、云うのも、ステータスに関してのことだ。


 多分だが、Lvがあるってことは魔物やら何やらがいて、それを倒してレベルアップしていく………まあそんなところだろう。

 いなかったとしてもそれと同じ感じの筈だ。


 もちろん生後3ヶ月の俺はLvが1のままである。

 それでもあることに気付いたのだ。


(ステータス)


ーーーーーーーーーーーーーー

種族:ラクーン

名前:

Lv:1

HP:23/23

MP:3/3


力:4

耐久:2

敏捷:3

器用:2

魔力:2


スキル:ステータス閲覧Lv2 シャンパーユ語Lv3

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 これが今のステータスである。


 そう、前より少し増えているステータスがあるのだ。耐久が1だったのでよく覚えている。


 この世界はLvが全て、というわけでは無いらしい。


 まあ、おかしいとは思ったのだ。




 農業関係などの、Lvが上げられる環境では無い(Lv1とはいかずともレベルが低い)人達はずっと、この低いステータスなのか。


 答えは否。そんな筈が無い。


 育つにつれて農作業が出来る程度にはステータスが上がっていくのだ。そして年を取るにつれて下がっていくのだろう。


 恐らくだがこれは日々の努力によっても変わってくると俺は思うのだ。


 前世の世界でも、デブがムキムキマッチョマンに勝てないように、こちらの世界でもそれが適応されると考えられる。


 つまり、今からいっぱい運動すれば、ステータスも上がっていくと言うことだ。

 これは同世代に対して、かなりのアドバンテージになってくる筈。


 ウチは貧乏のようだし、パピーやマミーにも楽をさせてあげたい。そのために運動をいっぱいしておいた方が良いと思う。少なくとも何もしないよりもマシだ。


 ステータスを見る限り、チートも何も持ってない俺には努力しか無いのだ。こうしてはいられない。今すぐ実行に移さねば………





ーーーーーーーーーーーーーーーーー



……………また、やってしまった。テーブルから落ちてしまったのだ。


 登ることは出来たが、降りるときに足を滑らせてしまった。


 痛かった。

 耐久上がってたけど変わらず痛かった。1から2で倍になったとはいえ、所詮は1上がっただけである。ステータスを見るとHPが5も減っていた。怖っ!これをあと4回繰り返せば死ぬっぽい。やっぱり脆いな、俺。


 因みに、何故テーブルに上ろうとするのかと言うと、正直分からない。だが、恐らく高いところに登りたい、という本能のように思う。


 まぁ、知らんけど。何となく登ってみたくなるのだ。


 結局泣きました。お約束だね。


 正直我慢すれば泣かずに済むと思うが、言葉を喋れないうちは泣いて親に伝えるしかない。


 この前、アレを漏らしても泣かずにいると、気づいて貰えなかったのだ。

 いや、普段なら臭いで気付いただろうが、外にいたので気付いて貰えず、不快感が凄まじいことになった。

 今では思い出すことも忌避される苦い思い出である。


 赤ちゃんが泣いている理由がよく分かった出来事だった。



 “アレ” からは、何かあれば泣いて伝えている。泣けばすぐにマミーが来てくれるのだ。タヌキ(アライグマ?)は耳が良いらしい。

因みに鼻も良い(“アレ” で経験済み)。


 今更気付いたことだが、ウチは農家らしい。この前パピーが鍬を持って畑を耕しているのを見たことがある。


 それに加え、時々パピーは角の生えた兎を狩ってくる。魔物がいると分かったのはこのためだ。角の生えた兎なんて魔物しかないだろう。ドラ○エでお馴染みだ。


 おっと、そんなこんなしているうちにマミーが回復魔法(仮)を使ってくれた。


 痛みが引いていく。HPを見ると全快になっている、流石マミー。


 ここでマミーのステータスが見れたらなぁ、とつくづく思う。ステータス閲覧のレベルをあげるためにステータス閲覧を使いまくっているが、なかなか上がってくれない。


 多分だが、100回くらい使ってLv2に上がった。この調子で上がってくれればまだ光は見えるもだが、そうは問屋がおろさないだろう。レベルの上限も分からんし。


 言うのを忘れていたが、スキルは使えば使うほど上がっていくらしい。シャンパーユ語もLv3になって、多少は聞き取れるようになってきた。


 今まで、日本語とかどうやって覚えたんだろうかと思っていたが、繰り返し限られた場面でとある言葉を言ってくれると、それを覚えるのだ。


 分かりやすく言えば、


 雨が降り始めると、マミーが『何か』を呟く。

 そして、洗濯物を家の中に取り込むのだ。


 つまり今のは『雨が降ってきたわ。洗濯物を取り込まなくちゃ』という意味だろう。


 この繰り返しである。言葉も直に覚えて来るだろう。


 そうして俺は、マミーに抱えられて外へと出ていった。

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