第15話 メンタルブレイク
俺は6才になった。
アルは、なんと言うか……シスコンに育ってしまった。ずっと俺にベットリなのだ。いや、まだアルは4才にもなってないから、これが普通なのか?
ずっと俺に着いてきて、俺が何かやるごとに「スゴイ!」って言ってきて目を輝かせているのはシスコンじゃないのか?
………前世で独りっ子だった俺には分からないが。
今はアルにキリシス語を教えている。アルは去年までは興味が無かったようなのだが、急にやりたいと言い始めたのだ。
というのも、去年フィーネ達が来てくれたのだが、そこでキリシス語をペラペラと話す俺に憧れたらしい。まあ、知らない言葉を使える人はカッコいいからな(自画自賛)。憧れるのも仕方ないかもしれない。
パピーとマミーはどうしているのかと言うと、俺がアルに教えているところを、いつかのドラ◯もんのような生暖かい目で見ていた。
パピーが、少し、いやかなり気持ち悪かった。
因みに俺は今でも地獄のトレーニングを続けており、内容は最初の倍にまでなっている。徐々に増やしてきた結果がこれだ。
魔法に関してもそうだ。今では土魔法Lv9 風魔法Lv10にまで上達した。相変わらず火魔法と水魔法はLv4ではあるが、回復魔法はLv8まで使える。もっとも、上級(Lv8~)魔法は一回使っただけでMPが半分近く無くなるので今のところ使う場面はないだろうが。
というより俺のレベルまだ1なんですけど。
他の子供とかのステータス見たら皆最低でもレベル6にはなってるんですけど。
ちょっとパピーに頼んでみるか。
「ねぇ、パピー、メルもそろそろ魔物倒しt──」
「ダメだ! 魔物を倒したかったらパピーを倒せるくらいにならんと、ホーンラビットにすら負けるぞ! 魔物はパピーを倒してからにしろ!」
無茶言うな。そして嘘言うな。
そんなんもう世界滅んどるわ(エセ関西弁)。
そうだ、マミーに助け船を要求しよう。
「ねえ、マミー、パピーはあんなこと言ってるけどほん──」
「そうね。パピーの言う通りだわ。パピーがいつも狩ってきてくれるホーンラビットでも、命懸けだもの。少なくともパピーを片手で捻り潰せるくらいの力はないと、許可出来ないわ」
無茶言うな。そして嘘言うな。
俺が5才の時にパピーが狩ってきた魔物を忘れたとは言わさんぞ。
いや、確かに美味しかったけど。違うじゃん。そうじゃないじゃん。あれがホーンラビットよりも弱い分けないじゃん。
というより、ドラゴンを単騎で倒せるパピーを片手で捻り潰す力? 魔王かなにかですか? いや、裏ボスでも無理だろ。
そろそろトレーニングでは能力は伸びなくなってきたから、魔物を倒してレベルを上げてみたいと言っているのに、この始末である。
この様子だと絶対に無理だ。
……仕方ない。あまり使いたくなかったが、そっちがそう出るなら俺も容赦はしない。あの禁断の魔法を使うことにした。
俺は大きく息を吸い込む。そして。
「パピーマミー、キライ!」
「「グハァッ!?」」
苦悶の声を洩らしながら床に沈むパピーとマミー。
……そう、これが俺が編み出した魔法──『
娘から『キライ』と言われるそのダメージは計り知れない。
パピーに至っては何故か吐血すると言う意味分からんオマケ付きである。
「め、メル……すまなかった。今度、パピーと一緒に狩りに行こうな? マミーもそれで良いな?」
「そ、それなら、もちろん……メル、無理しちゃダメよ?」
「うん、ありがとう! パピーマミー! 大好き!(解呪)」
途端にパピーとマミーの顔色が良くなる。よし、魔物狩りの言質は取った。ミッションコンプリートだ。
だが、言い過ぎだったとはいえさっきのパピーとマミーの言葉は俺のことを想った上でのことだから、少し心が痛いな……
と、考えていると、今までずっと黙っていたアルが口を開いた。
「お姉ちゃん!スゴイ!」
「がはっ」
………やめてくれ我が弟よ。俺も罪悪感でメンタルブレイクしそうだから──
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