第28話「すごい子②」
「うふふ、こんなに高そうなモノをくれるなんて恵里菜はやっぱり脈アリかも! 別にいらないからあげるだってさ! 捨てる予定だったとか言っちゃってさ。ふふ、素直じゃないなあ」
さっきから妹が一人で、綺麗な黄金色のメダルを手に微笑んでいる......。
いつも通りの元気な妹。いや、いつも以上に元気な妹.......。
「へぇー、今日は帰ってくるの遅かったじゃない。 それ、塾の男の子にでももらったの? ふふ、ちょっとお姉ちゃんにも見せてよ」
見た感じ、サッカーボールの彫刻が入ったメダル。
ふふ、その喜び方を見る限り、気のある男の子からもらったとかかな?
はしゃいじゃって可愛い。
「ん? いいよ。でも絶対に恵里菜に返してね! これは恵里菜がもらったものなんだからね!」
「ふふ、わかってるって」
少年サッカーのメダルかな。
地区大会とかのメダル?
でも金色だし、多分優勝じゃん。
へぇー、とりあえずは恵里菜の好きな男の子は将来有望かもね。
懐かしい。きっと大事なものだろうし本当に脈ありなんじゃない?
良かったじゃん。恵里菜。
「あ、そうだ。お姉ちゃん。後ろに書いてある英語わかる? 恵里菜全くわからないんだけど。うふふ、もしかして大好きとか書いてあったりして!}
「ははは、恵里菜。面白いけどそれはないんじゃない?これサッカーのメダルだし。えーっと、どれどれ.......」
ん?
「ふふ、何て書いてるの? もしかしてお姉ちゃんも読めないとか? うふっ、恵里菜と同じね」
え......い、いやなにこれ
「え、恵里菜。何これ」
「うふっ、やっぱりお姉ちゃんも読めないんだー。難しいよね! でも高校生でも読めないならそれは恵里菜だって読めないよー」
い、いや読める、読めるけど、な、なにこれ......
「はい!お姉ちゃん。返して!」
な、なんでこんな文字が彫られて.......
お、おもちゃとか......?
で、でもそれにしては.......え?
「ん? お姉ちゃん? 固まっちゃてどうしたの? あー、欲しくなっちゃったんでしょー! でも、駄目だよ!それは恵里菜の!ほら、返して!お姉ちゃん!」
ほ、本当になにこれ.......
『South American Under-15 Football Championship』
な、何でこんな文字が彫られて.......
そ、South Americanって確か、南米よね。あのブラジルとかアルゼンチンとか強豪国が連なる......。
え?何でこんなものを恵里菜が.......。
し、しかも Under-15 Championshipって絶対に恵里菜の同級生じゃないでしょ。
それにこれ、ゆ、優勝してるわよね。
や、やばすぎない?
何で本当にこんなものを恵里菜が。
「おねーちゃん!!!早く返してくれないとママに言うよ!!!」
も、貰い物の貰い物とか?
そ、そうよね。多分。
「ご、ごめん。返すけど.....これ誰からもらったの? 塾の子なんだよね.....?す、すごいね。あ、それとも学校の同級生?」
き、帰国子女とか?それとも海外に友達がいる子とかかな?
「ん? 違うけど」
「え? 違うの?」
え? じ、じゃあ誰......?
「ん? 洋介だよ。洋介。たまにお姉ちゃんが口にする洋介。うふっ、ほとんど記憶にはなかったけど中々良い男だったわよ」
ん?
「え? よ、洋介.....?」
「うん。そうだよ。洋介」
洋介.....?
「ど、どこの.......?」
「ん? 隣だけど。なーんかさ、他にも外国人と洋介がサッカーをしている写真とかもいっぱいあった!お父様が見せてくれた。うふふ、なぜか洋介はものすごく発狂していたけどね! あー、面白かった! また行こっと!」
「え.......?」
「ん?」
ど、どういうこと?
洋介が......
え?
どういう......こと?
って言うか、な、何してるのこの娘.....?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます