第47話「予感」
「おい喜屋武、お前はもうこっちには戻って来ないつもりかよ!」
「ん? いや、それはまだわからないかな。ふっ、戻るかもしれないし、戻らないかもしれない」
どうなんだろうね。
「俺とお前がいれば、高校でも中学の時の様に全国制覇だって目じゃなかったって言うのによ......。な、なんでだよ。嫌いになったのかよ......フットサル」
「ふふっ、そんなことはないよ。フットサルは今でも嫌いではない。ないけども、ふと、こっちでも自分の力を試してみたいと思ってしまってね」
本当にふと思ってしまってね。
別に特別な思いがあるかと言われれば何もない。
「じ、じゃあなんで三峰なんだよ。噂では三峰はもう.......。お前ならもっと上の.......」
「ふっ、それは単純に家が近かったからかな」
「な、お、お前はいつも何でそう適当な.......」
あと、全く根拠はなかったけど.......
ここに入ればものすごく面白そうな予感がしたから。
ふっ、うまくは言えないけど、昔からそういう嗅覚は結構いい方なんだ
現に君とも出会えたし.......
「まぁ、君には悪いと思っているよ。実際、君と一緒にいた時間もすごく楽しかったしね」
「じゃあ.....」
「でも、僕の今の興味は完全にこっちに向いてしまったんだ。一番君が知ってるでしょ? 僕の性格」
面白いか、面白くないか。
それが全てだ。
「くっ.....知ってるよ。痛いほど。だから別に本気でお前をどうこうできるとは思ってねぇよ。ま、お前が三峰に行っちまった時点でもうどうしようもねぇしな。で、どうなんだ。そっちには面白いやつはいたのかよ」
「ふっ、いたよ」
もし何もなければすぐに去るつもりではいたが
彼はもちろん、彼も、彼も、それに彼も......
ふ、おもしろすぎる。また当たったよ。
僕の予感が。
「へっ、それは俺よりもか?」
「ん? まぁ君もすっげぇ面白い奴だけど、君みたいなのがゴロゴロいるね」
「ゴ、ゴロゴロ......」
「しかもその中にさらに一人、ぶっちぎりで面白い奴がいる。笑っちまうぐらいにね」
「そ、そんなにか。お前がそこまで言うなんて、本当にヤバイ奴なんだろうな......」
「あぁとてつもなくヤバイね」
今日の試合だって
あんなプレイ、僕にも無理だ......
ふっ、今はね、あくまで今はだけど.......
「そうか、へっ、お前がどんな面してやがるか今日は逢いに来てやってみたが、本当に面白そうな面してやがるよ。下手すりゃ俺といた時もよりもな。嫉妬しちまうぜ」
「そうかな? まぁ面白いことには違いないかな。ふっ」
「ま、頑張れよ。俺は相変わらずこっちでもガンガンにやってやるからよ」
「あぁ、ありがとね。期待してるよ」
ふふ、とりあえず僕も今度はこっちで存分に楽しませてもらう。
正直、初めてなんだ。
こんなに常にゾクゾクしているのは.......
この先、とてつもなく面白いことが起こり続ける予感が止まらないんだよ。
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