第4話「理想の高校生活②」
ど、どうも、お世話になっています。
三峰高校サッカー部の新マネージャー『山岸萌香』です。
そして今、また私の視界の中にはすごい光景が映り込んでしまっています........。
何ですか。この状況.......。
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!これ、パワハラだろ!!!うわっ、これパワハラですー!!!!! 皆さん、見てくださーい!!!!!! この女教師、やばいですー!!!パワハラ詐欺師ですよー!!!!!!!!!!」
ようやく今日から新しい顧問さんが練習に顔を出してくれると聞いていたのですが、何故か遠くの方から二人の男の子をグラウンドに向かって引きずって来る女性が見えます....。もしかしてあの人が新しい顧問さん.......ですか?
彼女の右手に引きずられている男の子の方はものすごく暴れていて、左手に引きずられている方のかなりおデブさんはもう死体さんかのごとく、なすがままに無言で引きずられています。
もう何が何だかわかりません。
いや、本当に何なんですか......。
圧倒的に異常な光景です。
男の子達が引きずられている状況はもちろんのことですが、あ、あの新しい顧問さんであろう女の人のどこからそんな力が......。別にガタイが良いとかでは全くないのに。
か、怪力どころではありません。特に左手.......。いや右もですね。
人間......ですか?
そしてふと隣を見て見れば、あんなにいつもうるさい仲居くんがまた目を点にして無言で固まってしまっています。
無論、今回も他の皆も。
というか一緒にグラウンドを使っている他の部の人たちまで......
「いやいや、別に嘘はついてないだろう。ちゃんと交換条件は提示しているじゃないか。人聞きの悪いことを言うんじゃない、松坂」
「あぁぁ? 嘘でしかねぇじゃねぇか!!!!この糞ババアァァァァァァァ!!!!!!!離せ!俺はこの件に関しては意地でも徹底的に抗議するぞ、絶対に嫌だぁぁぁあ!!!」
ま、間違いなく昨日のあの子ですが、すごい......。
色々とすごい。
って、あれ? どうしたのでしょうか。向こうの方から彼らを引きずってくる先生の足がピタッと止まりました。
そして、まだ遠くにいるので当然聞こえはしませんが彼に向かって耳元で何かを言っている様です。
表情は角度的にこちらからは見えません。
一体何を.......
って、あ、あ......
何故か急に、さっきまで吠えて暴れての騒がしかったあの男の子が、ひ、左手で引きずられている男の子の様に、む、無言に、そして放心状態に......
というか震えています......?
そしてまたこちらに向かって彼らを再び引きずってくる先生。
今度はただただ、静かに男の子達がされるがままにに一人の女性によって引きずられてくる光景です.......。
ほ、本当になんなんですか。これ。
そして何者なんですかあの先生?
あ、あ.....もうすぐそこに。
「どうも、今日からお前たちの顧問になる深田だ。女だからって舐めないでくれよな。宜しく」
い、い、いや舐めるわけがありません。舐められるわけが.....。
今も、彼女のその完璧に作り笑いだとわかる満面の笑みに、お、お兄ちゃんもそしてあの仲居くんまでもが震えています.......。
な、なんでしょうか。この見えないとてつもない圧は、も、萌香も、もう......
「それと、この二人新入部員だから。アニメ同好会兼サッカー部みたいだから宜しくしてやってくれ」
ア、アニメ同好会兼サッカー部?
よくわからないけれど、萌香があんなに頑張って勧誘してもテコでも動かなかった昨日の男の子がブツブツとグラウンドに転がっています......
「大人は汚い.....。大人は汚い......。こんなはずじゃ......。こんなはずじゃ.....」
こ、壊れてしまったロボットの様にグラウンドに......。
で、でもこれって
「名前は松坂洋介と田辺舜太。私のクラスの奴等だから何かあればすぐに私に言え。後、いきなりだけど明日は先生の古巣、聖徳高校で練習試合組んであるからそこんところ宜しく」
「「「え? 松坂洋介? 」」」
「松坂洋介ってあいつと同じ名前ってこと?」
「え? 同姓同名?」
え? ま、松坂洋介って
本名? ってことは本当にあの有名な松坂くんと同じ......名前?
そ、そんなことってあるんですね.......。
あれ?しかも、田辺舜太......。
ん? こっちもどこかで聞いたことのあるような?
って、し、聖徳と練習試合!?
あの聖徳!?
しかも先生の古巣?
ん? 古巣?
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