第7話「遭遇」


 今日はお昼からずっと、あの件でのモヤモヤが頭から離れない。

 優華の既読は全然つかないし。

 本当に1年とは言え、どうやって三峰が聖徳に......。


 「あれ? ちょっと玲奈、あれって仲居くんじゃない?」

 「ん? 仲居くん?」

 「うん。絶対そうだよ」


 あっ、本当だ。

 駅の改札口の前にいるあのツンツン頭は間違いなく仲居くん。

 って、たたずまいが見るからにヤンキー.......。


 まぁもう夕方だし、向こうも練習終わりといったところだろうか。


 って、え? 

 いやいや、な、仲居くんと言えば三峰じゃない!

 まさに


 「おい、打ち上げいくぞ!打ち上げ!拒否権はなしだぜ!はっはっは」


 それに他にも三峰の生徒らしき男の子たちが数人。

 え、天パの太った子。ってことはアレが三峰の1年生たち!?

 確かに誰も知らない.......? 

 け、けどどう見てもぱっと見では強そうには見えない様な......。

 あの子たちが本当に陣馬くんたち聖徳に勝った.....の?

 

 「ほら、松坂くんも行きますよ。拒否権はなしです!」


 ん?


 「いやいや俺はいいって、それに俺はもう辞めるから。今日で退部、退部させてくれ!」


 は?

 あ、あ、あれは.......

 また一人、いや二人、わ、私の視界には三峰の生徒らしき人物が......

 いや、でも、え?

 あ、あれって.......


 「もう、松坂君はまたそんなことを言って。駄目です。ふふ、萌香が許しませんよ。今日は皆すごかったですけど、MVPは松坂君なんですから!はい、つかまえました」


 よ、洋介.......?

 え? 嘘!?

 あいつ、サッカーはもうやってないって......

 辞めたって確かにママが。


 「ほら、萌香たちと一緒に行きましょ、ね?」


 し、しかも、え? 嘘?

 あれが、あの洋介?

 

 あんなに小さかった陽介が.......え?

 それに顔つきも.......

 

 み、見間違えるほどに数年前とは違う。

 でも本当に何で? なんで洋介があの集団の中に?


 「玲奈? おーい、玲奈? 急に固まっちゃって一体どうしたの? おーい」


 も、もしかして......


 「確かに、松坂テメェのシュートはやべぇ。いや、シュート以外も。お前、今まで一体どこで何してたんだよ。普通お前ほどの奴なら、嫌でも存在が耳に入ってくるはずだろ?」

 「ふふ、しかも名前がまさかのあの松阪陽介くんと同じです」

 「それに田辺、お前がまさかあの――――だったなんてな。あの頃から変わりすぎだろ。お前.......。それに喜屋武お前もこいつらが入ってきた途端、急に動きが変わった様に」


 嘘でしょ。ってことはやっぱりあの優華が言っていた子は


 「そう言えば松坂くんはどこに住んでいるんですか? もしかして萌香の家の近くだったりして」


 やばい、色んな意味で頭が混乱してる。

 本当にまだ洋介はサッカーをしているの?

 ならあの時の約束もまだ———



 「洋介........」

 

  

 

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