第20話「ロックオン」


 へぇー、ケビン君。


 キックオフシュートか。いいじゃん、いいじゃん、面白い♪

 これは外国人の旦那様も悪くないかもっ。 


 ふふっ、しかも20点も愛梨にプレゼントするって。


 もし本当にそれができたら......

 

 いや、でも相手は三峰?ってところだもんね。

 昔は強かったところらしいけど、今は全然知らない。

 すなわちはっきりと言えば弱小校だと言うこと。

 正直、ここが相手じゃケビン君の本当の実力は測れないかな。

 残念だけど。


 あと、彼は一応イケメンくんだけど

 その投げキッスはあんまり好きじゃないかな......

 しつこい......。


 ふっ、それにしてもまた5分以内に1点か。

 今度はどうやって決めてくれるんだろう。

 とにかく、愛梨を振り向かせたいならもーっとドキドキさせてもらわないとね。ケビン君!

 

 んー? って、あれ? 


 三峰の選手たち。開始早々あんな決められ方をして、あんなことまで言われているのに不思議と冷静?

 ここから見る限りではあまり悲壮感も感じられないし。え? 後ろの方には笑っている子まで......。

 ん?もしかしたら元から勝つ気がないとか?


 えー、全然面白くないじゃーん。

 愛梨が一番嫌いなタイプのチームじゃんそれ。

 プンプンだよそれー。


 とりあえず、次にケビン君がもう一点決めたらちょっと睡眠タイムかな。

 昨日も仕事ざんまいで大変だったし、こんな残念な試合を見たところでね。 


 あ、再開したわね.....って


 「え.......?」


 ちょ、え?


 は?

 え? 何が起こった.......?


 「何......。今のシュート.......」


 え? どういうこと。

 またホイッスル?


 こ、今度は三峰がキックオフシュート......!?


 し、しかも今の、明らかにケビンくんよりも......

 「だ、誰?」

 わからない。情報がない。なさすぎる。

 本当に何よ今の。

 あ、あんなに低い弾道でセンターラインからそのままネットに.......

 

 や、やば、やばすぎるじゃん......。


 あんなのどう考えても高校生が撃つようなシュートじゃ.......

 

 え? 本当にやばい。


 面白い。面白すぎるんだけど。

 本当に誰? あの男の子。

 それによく見たら顔も普通にかっこいいし、雰囲気も......。


 そ、そう言えばさっきもらった資料に三峰の選手も確か名前が。

 あ、あの背番号なら、えーっと


 え!?


 「ま、松坂介.......?」


 え? 松坂洋介って、あの松坂陽介?

 お、同じ名前.....?


 な、なにそれ。

 この名前はもちろん知ってるけど、え? 知らない。


 え? 何でこんな子が今まで何の注目もされてこなかったの?

 どういうこと?


 って、また.......って、すごっ、すごい。


 「超すごいんだけど......」


 って、よく見たら仲居くんもいるじゃん。

 え? 何? 何なの三峰。


 「すごい......」


 でも、そ、それにしても、松坂くん。

 やっぱり彼は頭ひとつ、いやもっと、他よりも......


 「松坂介くんか......」



 


 

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