第32話「THE・3バカ」
あー、眠てぇ
昨日はついついニコ生に夢中になりすぎちまったから睡魔がやべぇ
真剣に午後からの授業はやばいかもな。これ
「ま、松坂殿! 菊田殿! 大変なものを見つけましたぞー!!!」
ん? あぁ田辺くんか。
どうした、田辺くんにしてはテンションが高いな
珍しい。それもそんなダッシュで
「こ、これを見てくれぬか!」
ん?これ?
「ゼクシイ.......? なんだこれ? 付箋がついてるけど」
「ゼ、ゼクシイ!? 言わずと知れた結婚情報雑誌だよ。こんなのどこから持ってきたんだよ。田辺くん! 誰か結婚するの!?」
へぇー、結婚雑誌。
でも確かになんで。本当に誰かもう高校生で結婚でもすんのか?
「いや、これは深田教師の机からくすねてきたのだ」
ん?
「え、せ、先生の机から?」
「ああ、さっき別件で職員室に行ったのだが、ふっ、深田教師と目が合いまして。その時に露骨に何かを隠す仕草をしていたのでおかしいと思ったらこれですぞ」
「ちょ、だ、駄目だよ!何してんの!そんなの殺されるよ!殺されちゃうよ!」
「ふ、深田!? あのババアが結婚雑誌? ハッハッハッハ!!!!!あいつ、相手もいねぇ癖に柄にもなく何を読んでんだよ!くっ、やべぇ、腹よじれそう。あいつが結婚情報雑誌とか!」
ふっ、ふっ、まじで、まじでやべぇ
「って、何だよ。菊田くん。そんな慌てた顔で後ろを振り替えって」
どうしたよ。
「よ、良かった。いない。いや、こういう時って大概、後ろに先生いるから」
た、確かに!ま、まぁ今回はいないみたいで助かった。い.....ないな。良し。良かった。
でも確かに。細心の注意を払おう。危ねぇ
今回ばかりはマジ洒落になんねぇからな
でもこれは大きな収穫だぞ。おい
「松坂殿、菊田殿、この付箋のところもちゃんと見てくれぬか」
「ん? 付箋のページ?」
何だ。何がある
俺は田辺君が指さすとおりに一心不乱に付箋のあるところへとぺージをめくる。
わざわざ付箋まで貼ってるとかまじ面白すぎんだろ
え?
『アラサー女子の「成功」する婚活術 特集』
ちょ、え?
「ぶはははははははっはは!!!!!!!!ちょ、あいつ、ちょ、やべえってマジで笑い死にしそう。ひっ、ふっ、ひひっ、何だよ。これ。何だよ。これ。あいつこんなページに付箋貼って、が、ガチじゃねぇか。アラサーババア!ふはははははははははは!!!!!!!!!」
「ちょ、松坂く、声が、ふ、声がでかいって」
「何がだよ。菊田くん、君もそんなこと言って顔がもう既に大爆笑しちゃってるじゃないか。ふっ、お主も悪よのー。はっはっはっはっはっ!!それにしてもあいつがこんな本を。普段は結婚とかには何の興味もない様な顔をしてやがるくせに興味アリアリじゃねぇかああああああああ!!!!!!」
「いや、ちが、ふ、ふふ、違うって、ふふはははは、やめ、駄目だって、松坂君そんなこと言ったらダメ、ふっ」
さ、さすが、さすがだぜ。田辺くん。
こんなお宝を手に入れてしまうなんて。
そうだよな。相当田辺くんもあいつには
「って、何してるの!松坂君」
「ん? ちゃんと大事なところにマーカーをしてあげているんだよ。付箋だけじゃだめだろ。付箋だけじゃ、ふっ、くっ、」
日頃の恨み。ここで盛大に晴らしたり。
これはまさに絶好の最高の復讐のチャンス。
マジでナイスだ田辺くん。
「え、ちょっと松坂くん、それ、ど、どうするの? どうするつもり?」
ふ、どういうつもりって?
「菊田君、そんなの返すに決まってるじゃないか。俺達はちょっと借りているだけだ。別に泥棒なんかじゃないんだから。借りたものは返す。当たり前だろう」
そう。借りはきっちり返さないとなあ
「なぁ田辺くんもそう思うだろ」
「くっくっ、もちろんですぞ」
大丈夫、足は絶対につかない様にやりとげるさ。
絶対に。
「い、嫌だ。僕は降りるよ。嫌な予感しかしない。本当に僕は知らないよ」
「いやいや、さっき一緒に笑ってたよね。君は立派な共犯だよ。それにサッカー部を辞めたいんだろ? 俺に任せておけ菊田くん。これはもうチェックメイト。悪い様にはしない」
現に良い案がもう次々と思い浮かんでくる。
俺は天才だ。今度こそは確実に仕留める。
「よし、田辺くん、菊田くん、作戦を詰めるぞ。誠に今回の収穫、大儀であったな
田辺くん」
「はっ!ありがたきお言葉ですぞ!」
「い、いや、ちょ、僕は、本当に僕は.....」
ふっ、とうとう年貢の納め時だぜアラサー深田
今まで恥をかかされた全ての借りを今ここで必ず晴らす!
「ちょ、いや、待って、松坂くん、田辺くん、ほ、本当に僕は......いや、本当に僕は? いや、え? なんで、なんで」
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