第40話「轟木戦の結末」
す、すごいよ。すごすぎるよ。松坂くん。
あの、あの轟木兄弟相手に、いや、守城高校相手に一人で.......
もう時間もほんの後少しだし。こ、これなら本当にあの守城に
あとは何とか守りきれば.....
そ、それにまた松坂くんが
って、え?
う、うそ、松坂くん、ひ、膝がガクって......
あ、あんなに一人で無茶をしたからもしかして足にきて......?
え? 嘘、来る!?
と、轟木兄弟が二人で、二人でまた来る!?
「な! き、菊田!!!!!!死んでも、死んでも止めろおおおおお!!!!!!!」
え、いや、いや、仲居くん!?
無理、無理、無理、無理、無理、僕じゃ無理だよ!!!!!
だってさっきも
「くっ、糞がっ、俺達が、俺達があんな、絶対に許さねぇ。せめて、せめて、最悪でも引き分けにしてロスタイムで殺す!」
「清二、残りはクソ雑魚どもだ。殺せ!」
こ、殺せ? え? 殺せ?
う、うそ、ものすごく切れてるし、何、何?
サッカーだよねこれ? 僕また、僕また.......
「菊田ああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
ひっ、な、仲居くんが......
こ、こんなの引いても地獄、進んでも地獄
そ、それに僕がここで引いたらせっかく松坂くんが頑張って稼いでくれた点が.....
な、なら、もう
「うああああああああああああ!!!!!!!!」
進むしかない!!!!って、ま、また肘が......!?
「「うぜぇ、死ね」」
ぐああああっ........
「........」
ぁぁぁぁって、あ、あれ.......?
ひ、肘がとんできて......いない?
「........」
え? ボールも後ろに.....ない?
「な、なんだと!?」
「何ぃぃ?」
え?
「ふっ、お前等こそ、こんな糞みたいな真似ばっかり。アホの一つ覚えかよ」
え、え?
何で.......
何で、き、君が、君がボールを......!?
「き、喜屋武くん!!!」
う、嘘でしょ!?
「まぁ、さすがに僕ももう見切ったよ......」
な、な、き、君ってやつは!
どこまで、どこまで謎なんだ
き、君も一体何者なんだ
「ま、まだボールの大きさとかこの広さに若干慣れない部分はあるけどね......」
え? 大きさ? 広さ?
え......?
で、そもそも僕は何で一人で地面に転がっているんだ......
って、そのまま喜屋武くんの足から勢いよく離れたボールは大きく弧を描いて仲居くんの足元に!
「き、来た、来た、来た、来たあああああああああああああ!!!!!!!!松坂だけじゃねぇ!!!!!! 俺だって負けてねぇぞコラァァァァ!!!!!!」
そ、そうだ。松坂くんがすごすぎて霞んでいたけど、仲居くんだってあの.......
そ、そのまま一人抜いて、二人抜いて、あ、後はキーパーと、い、1対1!
いける、そ、そのまま駄目押しでいけ!仲居くん!
「ウラァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
さ、さすが腐っても仲居くんのシュート、一直線にゴールに向かってそのまま
そのまま
ゴールポストの上を一直線に抜けたぁぁぁぁぁぁ!!!!!
って、え? 抜けた?
「........」
そ、そして僕の耳には試合の終わりを告げるホイッスルの笛の音。
あれ.......仲居くん?
「う、うおおおおおおお!!!!!!でも、試合には、試合には勝ったぞお前らぁぁ!!!!!!!!!おっしゃあああ!!!」
で、でも、そうだ。
な、仲居くんがものすごい空元気で喜んでいる気がするけれど
勝った。勝ったんだ。僕たちは二回戦も勝ったんだ。
4-3で勝ったんだよ!
「や、やった! やったよ喜屋武くん。やったよ皆」
勝ったんだ......けど、あれ?
な、何かものすごく大事なことを忘れている様な気が.......
「........」
ま、いいや。勝ったんだもん。
そう。勝ったんだもん!
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