第24話「放課後と混沌」


 「菊田くん!何でですか。ちょっとお話しましょう!」

 「ごめん、山岸さん。でも、もう僕は辞めたんだ。それにどうせ僕がいなくなったって何も変わらないよ」

 「なんでそんなこと言うんですか。そんなことないです。いつも頑張ってるじゃないですか!それにまだ辞めてないです!深田先生はまだ正式に許可してません。萌香もえか、全部見てましたよ!」


 な、なんで急に辞めるなんて。

 松坂くんじゃあるまいし。何で


 さっき職員室に担任の先生に用があって行ったら、まさかの菊田くんが深田先生に辞めたいと直談判する場面に遭遇です。

 萌香、本当にびっくりしちゃいました。


 「本当にごめん。でも、僕みたいな平凡な人間ではどれだけ頑張っても才能のある奴には勝てないんだよ。もういくら頑張っても伸びしろが見えないんだよ」


 「そ、そんなことないです。待ってください。菊田くん。ねぇ、って、あ、松坂くん! ちょっと松坂くん、良いところに来てくれました。緊急事態です!菊田くんを止めてください」

 本当に良いところに来てくれました。


 「え? どうしたの」

 

 どうしたもこうしたもありません!


 「菊田くんが突然サッカー部を辞めるなんて言いだしたんです!ようやく始まったばかりなのに!」


 絶対に阻止しないと駄目です。

 絶対に。って、ああ、どんどんと菊田くんが昇降口の方向に。


 「おおおお!!! 菊田くん。君もか! うんうん。でも辞めさせてもらえなかったんだろ。わかるぞ。うん」

 「え、ちょ、松坂くん?」

 「そうか。そうか。ようやく仲間が増えたか」


 「いや、え、ぼ、僕は......」


 ちょ、仲間って......。


 って、あぁ.....そ、そうでした。

 彼は最もこの場で出くわしては駄目な人でした。

 さ、最悪です。


 「よし、じゃあ行くか」


 え、いや


 「ち、ちょっと待ってください!萌香が許しません!菊田くん、これからも一緒に頑張っていきましょうよ! 萌香も精一杯サポートしますから! もう!松坂くんはちょっとどいてください!」


 ぐぬぬぬ、一旦菊田くんから離れてくださいっ。

 それに一体どこに行こうと......


 「ね。考え直しましょう。先日の試合も見事に勝利したじゃないですか。萌香たち、これからじゃないですか!」

 「いや、僕は何の活躍もしてないし、途中からベンチだったから......」


 「い、いやそんな「もう構わないでくれよ!!!! もう僕はこれ以上頑張ったて何の意味もないんだよ!!!!どれだけ、どれだけ頑張ったって才能のある奴等には勝てないんだよ!! そんなに引き留めるんだったら教えてくれよ。どうやったら僕は強くなれるんだ!!! 教えてくれよ。山岸さん!!!!」


 「ひっ、き、菊田くん.....。そ、それは......」


 き、急にそんなに大きな声で。

 き、菊田くんらしくありませんよ。そ、そんな怖い顔で


 も、萌香怖いです。


 「これ以上、どうやったら強くなれるんだよ!なあ!もう伸びしろが全くない僕がどうしたらこれ以上強くなれるんだよお!!!」


 そ、それは......


 って、え? ま、松坂くん?


 「え、ま、松坂くん。ちょ、何を」


 何故か松坂くんがベタベタと菊田くんの身体を触っています。

 か、身体中の隅から隅まで


 「菊田くん。ちょっと脱いで」


 え、ぬ、脱いで.....

 な、何をこの状況で.....って、ま、松坂くんまで!?


 「ちょ、松坂くん、何で、何で急に脱ぎだしているんですか!」


 ひゃあ、って、え、あ、な、なんですかそのものすごく引き締まった筋肉は!?


 萌香、ついつい顔を隠した指の間から見てしまいます。

 ふ、腹筋も、腕も、す、すごい。


 「ほら、菊田くんも」

 「いや、え、ちょ、え?」

 「はい。ばんざーい」

 「え、何で、いや、何で、松坂くん!?」

 「大丈夫だって。上だけだから」


 あ、よ、良かった。そ、そうですよね。

 さ、さすがに上だけですよね。知ってます。知ってますよ。

 萌香、別に何も変なことなんて考えてません。何も。ほ、本当です。

 べ、べ、別にいやらしいことなんて全く考えていませんから。


 って、そ、それにしても、すごい......。

 菊田くんも別に悪くはないですけど、松坂くんが別格すぎます。

 ま、まるで海外の有名なプロサッカー選手の様な

 

 い、一体どれだけの鍛錬をすればここまで...... 


 「よし、ちょっと一緒に歩きながら話しでもしようか。菊田くん」

 「え、いや、服は、ちょ、何で僕の服、返して、え?」


 え、そ、そのまま歩きながら?

 上半身裸のまま廊下を?


 な、松坂君は一体何を。一体何を考えているの

 わからない。萌香わからない。え? 本当になにこれ


 それに、いつの間にか田辺君まで合流して.....

 って、何で田辺君まで服を.....


 「........」


 です。

 予想通り彼はです......。

 何故か自信満々な顔をしていますがです。

 まごうごとなきさんです......

 

 いや、本当に何ですか。この状況.......

 ちょっと、え?


 萌香は一体何を見せられています?


 ありゃ? ん?


 萌香の前には3人の半裸の男の子.....。



 うん。わかりません......。



 

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