第8話「6年ぶりの再会」


 「よ、洋介!」

 

 「ん? いま誰か俺のこと呼んだ?」


 やっぱり改めて見てもあの頃とは全然違う。

 今も、人がそれなりにいる駅の中でも普通に存在感があるし何と言うか雰囲気が


 「って、え?」


 でも、洋介だ。つい声をかけてしまったけど、洋介に間違いない。

 間違い様がない。間違うわけがない。

 本当に帰って来たんだ。


 「れ、玲奈.......?」


 気が付いてくれた。

 そ、そうよね。私がずっと覚えているのに洋介が私のことを忘れているなんて絶対にないわよね。そんなこと許されないわよ。


 「ひ、久しぶりね.......。洋介」


 それにしてもこいつ、やっぱり昔に比べてかなり男らしく.......

 本当に。


 「え、誰ですか? 松坂くん」

 「おい、誰だよ。松坂、この可愛い子、し、紹介しろよ。おい.....って、あれ? 俺どこかで見たことあるぞ。この娘」


 「どうも白鳳でマネージャーをしている佐久間玲奈です」


 可愛いか。ふふ、洋介の変わりようにはびっくりしたけど。

 私も相変わらず負けてないでしょ?もしかして見惚れちゃってたりして?

 この前だって結構大きめの芸能事務所にまたスカウトされちゃったりしたし。

 どう?久しぶりの幼馴染は


 「あ、そ、そうだ!あの松阪陽介と同じ中学だったマネージャーだ!」

 「はい。そうです」

 「ってことは今もあいつと同じなのかよ。チッ」

 「ま、まぁ一応」


 残念ながら一応ね......。

 で、何で仲居くんは舌打ち?


 「ってことはあいつの女かよ」

 「へ?」


 い、今何を......

 あ、あいつの女?


 「え? や、やっぱりそうだったの!?玲奈」


 「え、は、え? はぁ? ちょ、何言ってるの? しかも結実まで! そんなわけ、そんなわけないじゃない!ないに決まってる!」


 いや、ほ、本当に何を急に

 ふざけてんの?やっぱり?やっぱりって何よ! おい結実


 「でも確かに、玲奈と陽介くん。一緒にいることが多い気が.....」

 「はぁ? ちょ、まじで怒るよ結実! 誰があいつなんかと!」


 あいつが私に勝手に付きまとってくるだけでしょうが!

 わかるだろ!わかれよ!


 「ちょ、本当に違うからね。付き合ってないからね。洋介!」


 ありえない!ありえないから!


 って? あれ? 

 よ、洋介.......は?


 「あ、あれ?おい!逃げた!逃げやがったぞ松坂が!って、田辺もいねぇ! 消えやがった!あいつ等マジか!」


 はぁ?に、逃げた?

 な、なんで? 


 え? 自分で言うのも何だけど可愛い幼馴染との再開よね。

 ど、どういうことよ? 一瞬?


 「え?」


 って、も、もしかして洋介.......。

 嘘、私があいつと本当に付き合ってると思って......

 いや、そうよ。そうに違いない。

 くっ.....再会早々何でこんなことに


 「ごめん、結実。私ちょっと先行くね」

 「え? ちょ、玲奈?」


 違う。違うから洋介


 私が―――― 

  



 「い、行っちまった。って、あれ? 山岸も.....いない?」



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