ヘタレ野郎とバスケットボール
束子みのり
中学二年生
新チーム発足
試合終了のブザーが鳴った。
県大会予選の一回戦の会場、夏休みの最初の週末。
俺、
「やっぱり負けたか〜」
そう呟きながら試合後の挨拶を交わして、片付けを始めた。
先輩が引退する寂しさとこれから俺達の代が始まる期待感を抱きながら…
試合から二日後の朝八時に学校の部室に向かっていた。
今日も朝からジリジリと暑い。部室に着いた頃には汗だくだった。
部室のドアを開けると、もう俺以外のチームメイトは揃っていた。
「遅い!」
少しイラッとした感じでみんなが口を揃える。
「ゴメン、ちょっと寝坊した」
俺は苦笑いしながら誤魔化す。
「それじゃ決めようか……」
今日から新チームが始動なのだが、まだ正式にキャプテンを決めていなかった。これからその話合いなのだが、これまでは先輩が指名していたのだが、今年は何故か話合いで決める事になった。
そして今ここにいるのが新チームの二年生メンバーである。
チームのなかでも発言力があるのが
今日は用事があって参加していないのが二人いて二年生は合わせて九人であとは一年生が十人の総勢で十九人だ。
「決めるって言っても、宮瀬がやればいいんじゃない?」
始まってすぐに慎吾が面倒くさそうに言ってきた。順司も隣で頷いている。
なんとなく予想はしていたが……他のチームメイトは黙ったままだ。
「反対の奴はいる?」
三井も早く練習を始めたいのか、みんなの顔を見ながら様子を伺っているが、誰も反対する気配はないようだ。
「それじゃ決定!」
順司がボールを回しながら仕方なさそうに笑っている。慎吾が俺の肩をポンポンと軽く叩いて笑みを浮かべる。
三井と谷中は、早速部室を出て練習に行こうとしている。
確かに、今のチームのバランスを考えると俺がキャプテンをするのが一番ベストなのだ。
「頼むから皆んな協力してくれよ……」
あきらめ顔で呟くと順司が近づいてきて、肩を組みながら励ますように声をかける。
「宮瀬の言うことならみんな聞いてくれるさ、心配しなくていい」
そう言われて俺は頷きキャプテンを受け入れることにした。これから俺達のバスケ部が始まるんだと気持ちが少しずつ高まってきた。
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