修学旅行 ①
今朝はいつもより早く起きて登校した。通常の登校より一時間も早いので少し眠たい。学校に着くと集合場所にクラス毎並んでいて点呼を取っていた。
「おはよう、宮瀬」
「おはよう、いつもギリギリの博之が俺よりも早く来ているとは驚きだな」
「いや〜、今日くらいは余裕持って来るでしょう」
「そうか、それじゃ明日以降も頼むよ」
「はいはい、分かりました」
出発前なのでテンションも高めだ。博之と会話をしている間に生徒が全員集まったので、先生が前で話を始めた。その後バスに乗り新幹線の駅まで移動して、新幹線で一時間弱で目的地の最寄り駅に着いた。その駅からバスに一時間乗り一日目の目的地である人気のテーマパークに到着した。
「やっと着いた〜」
「結構長かったね〜」
バスの中で皆んなが口々にそう言いながら順に下車している。
「宮瀬は誰と周るんだ?」
「あぁ、バスケ部の仲間で周る予定だけど、博之は?」
「俺か? 健とあと二年の時の同じクラスの奴と」
「そうか、じゃまた後でな」
一度入場口の前に全員が集合して、先生から説明を受けてから自由行動になった。俺は事前にバスケ部の仲間と集合場所を決めていたので直ぐに皆んな集まる事が出来た。
「よし、皆んな集まったか。どこから行くのか慎吾は決めてる?」
「何だ宮瀬は決めてないのか、順司はどこか行きたい所があるか?」
「特にはないから、慎吾に任せる」
「それならここかな」
俺を入れて五人は慎吾の主導でアトラクションを周る事になった。しかし平日にもかかわらず人気のアトラクションは結構な待ち時間だ。
最初に足が宙に浮いたジェットコースターに乗り絶叫した。俺は絶叫系の乗り物は全く抵抗が無いのでかなり楽しかった。
「次はどれにする?」
「そうだな……次はこれにするか」
慎吾が指を指したのは、映像を見ながら乗るアトラクションでかなりの震度と大音量があるみたいだ。そのアトラクションがあるエリアに移動する途中でクラスメイトに出会ったので様子を聞いてみた。
「結構凄かったよ、早くなったり止まったり振動が、あと音もかなり……」
興奮した様子でクラスメイトは説明をしてくれた。
「なかなか面白そうだな、順司は大丈夫か? さっきのでかなりダメージ受けてたけど」
既に疲労感のある顔をしている順司だ。
「何とか大丈夫だ。でも意外だったな、宮瀬がこんなに平気そうな顔をしているのが」
「えっ〜 そんなに意外かよ、俺ってどんなイメージなんだよ」
順司にツッコミまれて笑っていると他のみんあも順司のいけんに納得していた。
そんな事を話してながら歩いているとアトラクションのエリアに到着した。
「おい、待ち時間が九十分て表示してあるぞ」
「どうするか?」
慎吾と順司はまたかといった感じの顔をしている。
「仕方ないじゃん。人気あるからさ、とりあえず並ぼう」
俺が先頭になって列の最後尾に向かって行くと最後尾には同じ制服を着た女子のグループが見えた。
「あれ、宮瀬君達じゃない?」
並んでいた五人組のグループで最初に俺達に気が付いたのは白川だった。
「いつものメンバーだね」
俺がそう言って五人を見ると、以前遊びに行った時のメンバーに一人加わっただけだった。
「宮瀬君達だってそうじゃない?」
「確かに……」
笑いながら軽く頷いて俺達もその列に並んだが、俺が先頭にいたので並んでいる五人組の後ろにつくことになる。その最後尾が笹野だった。
始めはそれぞれ男女で会話をしていたが、待ち時間が長いので話のネタも切れて手持ち無沙汰な感じになってきて笹野達も似たような感じになっていた。
「み、宮瀬君……」
「ど、どうした?」
急に笹野から話しかけられ思わず驚いてしまった。
「宮瀬君達はここの前に何か乗ったりしたの?」
「ジェットコースター、ここからあの見えるやつ」
まだ列が建物の中に入る前だったので実際に眺める事が出来た。
「えっ、あ、あれに乗ったの? 平気なんだ……」
列が進みやっと建物の中に入る。
「そうだよ。結構高さもあったし、スピードも、そう、あと足も宙ぶらりんだったよ」
「えっ……」
笹野は絶句して驚いた表情をしていたので、俺はもしかしたらと尋ねてみた。
「絶叫マシン系はダメなの?」
俺の質問に笹野は浮かない表情をしている。
(聞いてはいけないことだったのかな)
「で、でも怖いって、笹野らしいからいいんじゃないかな……だって逆に平気そうだったららしくないよな……」
焦った俺は頑張ってフォローしてみたが上手く出来なかったが、笹野は微妙な顔で微笑んでくれた。
「もう私のイメージってどんな感じなの……」
「でも、このアトラクションは大丈夫? 結構凄いみたいだけど」
再び笹野は不安そうな顔をした。
「……ホントは怖いけど、皆んなが行きたいって言うから仕方なく」
「そうか、笹野らしいというか……でもムリするなよ」
「うん、が、頑張ってみるね」
「ダメだったら助けてやるから心配するなよ」
「あ、ありがとう」
笹野の顔は赤くなっていたが、そう言った俺も顔が熱くなったような気がした。でもそれが本当に事になるとはこの時予想もしなかった。
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