二話 「褒められること」

いつの間にか、私たちは褒められなくなる。

 


子どもの頃と何が違うの?

今の私はちゃんとできていないの??

いつの間にか戸惑いが生まれ

心に静かに広がっていく。



空は、夕焼けで赤く染まってきた。



子どもの頃は

関わる人はそんなに多くなかった。

親や学校の先生、数人の友だち。

そんな人たちと私で生活は完結していた。



大なり小なりはもちろんあるけど 

今は本当に様々な人が

私の生活に関わってくれている。

私の周りにはたくさんの人がいるようになった。




それなのに褒められない。

あの頃と同じように

私は努力はしている。

きっと私の根底は変わっていないから。




太陽が完全に沈み、一気に空の様子が変わった。




確かに私は前より強くなったと思う。

いいことか悪いことかはわからないけど

平気なフリもできるようになった。

苦しさは隠せるから。



それでも今でも

やっぱり落ち込むことは

どうしてもあって

なかなか立ち上がれない時もある。



自分で自分を褒められたら

一番いいのだろうけど

私は自信がなくて

なかなかそれができない。



人はこれを『甘え』と

言うかもしれないけれど。

私は今でも誰かに

褒められたい。



子どもの頃と

同じように無条件で

「すごいね」と肯定されたい。

褒められることに年齢制限はなくていい気がした。


 

褒められることで 

前をむくことができる人もいる。

きっと私だけじゃない。

人はよく不安になる生き物だから。




一番星を私は見つけ

またゆっくりと歩き始めたのだった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る