五十七話 「知る」


私の知っていることは

わずかなことだと

わかったのは

いつのことだっただろうか。



それまでは私は

もう大人だし大概のことは

知っていると

一人で思っていた。



でもある日わかったんだ。

私の知らない世界があることに。

しかもそれは、一つじゃないことに。

正直、嘘だと思いたかった。



いくら否定したところで

知らない世界が消えたり

しないし、私が

それを知ることはできなかった。



「未知」とは何で人を脅かすのだろう。



ただ私は、怖かったのだ。

暴かれることと知ることが。

自分が知らなかったと認めることになるから。

未知の出来事に立ち向かうことにもなるから。



どちらも好んでする人は

いないだろう。

でも自分の大切な人を

支える為に必要になったら?



その時にあたふたしないように

今のうちに知ることを

積極的にしてみませんか?

知らないことは恥ずかしいことではないから。



ただその時に知れば、

今までたくさんの困難を

乗り越えてきたあなたなら

誰よりも優しく対処できるから。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る