五十五話 「頼る」

人に頼ることは

「負け」を意味すると

思っていた。



だってそれは一人で

問題解決できないと

言いまわるのと同じだから。



何でも一人で

やらなきゃダメだと

思っていた。



だってそんな生き方しか

私は知らなかったから。

そうやって今まで生きてきたから。



でもあなたは私に

不思議そうにこう言ったよね?

「君は誰と勝負しているの?」って。



その言葉を聞いたとき

すぐに答えられなかった。

いや、正直答えがわからなかった。



私は勝手に比べる対象を

作りだし、自分を

追い込んでいたのだ。



打ちひしがれる私に

あなたは笑顔で

さらにこう言ったよね?



「間違えたなら

またやり直せば

いいだけだよ」と。



こんなにも人が

優しいなんて

今まで知らなかった。


厳しい世の中を

誰の助けもなく

生きていかなければいけない。



そう思っていた。

でもあなたは私に

違う世界を見せてくれた。



これからはあなたに頼るね

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