五十四話 「守る」

今まで

たくさんの人に

守られて

生きてきた。



それに気づけたのは

大人になって

だいぶ経ってからだった。

それまでそんな風に考えたことなかった。



自分一人で

やってきたつもりのことは

本当は誰かの

陰からの支えがあってできていた。







僕は小さい人間だなと思った。

ただ「できている」と

思い上がっていたのだから。

何も知らなかったのは、僕だけだった。



誰もわざわざ「私が

あなたを守って

あげてるのよ」

なんて言ってこなかった。



そんな欲深い人はまわりにはいなかった。



だから、僕はそれに気づいた時

一途に、こう思った。

『強くなりたい』と。

今から変わりたいと思った。




いつもすぐに

いっぱいいっぱいに

なってしまう僕だから

『今』は、自分さえも守れない。



情けなくてもダメでも、今を生きていかなきゃダメだから。



そしていつか、自分のことより

守りたいと思う人が

現れた時に

自分もその人も、しっかり守るから。


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