三十一話 「偽り」

偽ることの方が正しい?



私はいつも

自分を偽っていた。

強いふりをしてた。

「大丈夫だ」と笑ってたんだ。



だって本音を

話し出すと

止まらないから。

人の頼り方を教えてよ。



一つ話を始めると

最後まで話さないと

気が済まないの。

社交辞令もわからないよ。



誰を頼ったら

いいかもわからないよ。

そこにいる人は、いい人?悪い人?

どうしてみんなわかるの?



「大丈夫だ」と言っていれば

誰にも迷惑をかけない。

人は傷つけないよ。

自分の傷はどうせ見えないでしよ?



そうやっていつの間にか

自分で自分のことを

管理できなくなった。

そんな時、あなたが現れた。



あなたはいつまでも

私の話を聞いてくれた。

私を笑ったりしなかった。

「大丈夫じゃないよ」と向き合ってくれた。



偽って我慢してしまう

ことはまだよくあるけれど。

あなたがそばにいてくれるから。

私はもう道に迷わないよ。



偽る日々にさよならをするよ。


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