百七話 「犠牲と理由づけ」

あなたには自分のことを

犠牲にしてもいいと思える相手はいますか?



『誰かのため』という言葉を

どうしても私は信じられなかった。

結局は、自分が一番。

本気で自分を犠牲にできる人はいない。



そんな風に思ってた。

また、自分の何かを

犠牲にしてまで、守りたい人も

私には今まで正直いなかった。



自分の考え方を

支持する言葉ばかり

集めて、一人で安心してた。

私はなんて弱いのだろう。



『犠牲』という言葉を

悪いものにしているのは

誰かじゃなく、『私』だった。

言葉は一人では、何物にもなれないから。



言葉にいいイメージをつけるのも

悪いイメージをつけるのも

私たち人間だ。言葉自身が

「そうしてほしい」と言ってきたことはない。



そうなのに、私たちは

勝手にそうなっているかのように

自分を思い込ませている。

自分は悪くないと信じて疑わない。



今、もう一度考えてみて。



誰かのために自分を

犠牲にすること。

それは本当におかしなことだろうか。

人に笑われることだろうか。



自分よりも大切に

思える人がいることは

素敵なことだよ。

決して悪いことじゃないはずだ。



『犠牲』という言葉を

解放してあげよう。

それができるのも

私たち人間だけなのだから。



自分の大切なものを

犠牲にしてまで

守りたい人がいることは

尊いことだよ。



あなたならきっと

『犠牲』という言葉を救えるから。


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