第42話 閑話 シロガネ 8

 さて、接敵するまで僅ながら時間がありそうなので、スキルを見ながら1人作戦会議です。


 スキル一覧


 人造霊魂レベル1 

 異世界知識レベル1 

 毒舌レベル3 UP!

 工作レベル1 

 石器使いレベル1 

 道化師レベル2 

 アイアンクローレベル1 

 爆弾魔レベル1 

 釣りレベル2

 霊感レベル1

 盗賊レベル1 new!

 逃げ足レベル1 new!


 最近確認していませんでしたが、聞き捨てならないスキルがあります。まあ今は忙しいので容赦してあげましょう。


 それよりこちらです。

 ステータスを詳細に見ます。


 逃げ足レベル1:敏捷に微小プラス補正


 ……残念です。有用ですが状況の打開には至りません。


 仕方ないので、最優先目標を決めましょう。


 最優先目標はわたくしが生き残ること。次に時間稼ぎです。

 そのための最善の選択肢は、自ずと決まります。


 いよいよ軍隊が迫ってきました。


 私は両手の平に、最大限の魔力を込めます。



 敵の兵士逹の集団から5、60人の兵士逹がこちらに向かって来ます。


 確か中隊規模でしたか。

 納刀したまま、さすまたや網を手に手に近づいて来ます。

 まるで獣の捕獲です。

 網は金属を織り込まれているのか、鈍色に輝いています。


 敵の隊長らしき人の号令で一気に飛びかかって来る兵士逹。


 個々の強さはリムリール先生とは比べ物にならなそうですが、これだけまとめて来られると脅威です。


 わたくしは十分に引き付けると左手をやや斜めに地面に当て、爆弾魔レベル1を発動します。


 大きな爆発音とともに、大量の粉塵が舞い上がります。


 大量の粉塵を顔に浴び、咳き込む兵士逹。


 さあ楽しい楽しい追いかけっこの始まりです。

 わたくしは粉塵の中から飛び出して行きました。



 どれだけ時間がたった頃でしょう。

 ほとんどの魔力を使い果たしたわたくしは無事に兵士逹に捕まっていました。


 最後は大人しく投稿したので、拘束されている程度で、大きな怪我もありません。

 腕の一本くらいは覚悟していたので、これはなかなかよい方の結果と言えるでしょう。


 無事に時間も稼げました。

 わたくしが捕まることでカルドに迷惑がかかっても、それは仕方のないことです。

 自由にしてよいとの許可はいただいてあるのですから!


 どうやらこれから尋問のようなことが行われるようです。


 簡易的な天幕が作られていて、そこに少し他より偉そうな兵士が二人います。


 周りを警戒した兵士に連れられて、わたくしはその天幕に向かいます。


 一応、兵士逹に大きな怪我はさせないように配慮したので、わたくしの扱いも今のところはそこまで悪くありません。

 小突かれて追いたてられる程度です。


 天幕につき、膝まづかされます。


 このまま尋問のようです。



 二人の偉そうな兵士がなんだか自己紹介しているようです。


 1人はチョビひげで、もう1人がカイゼルひげ、チョビとカイゼルと呼びましょう。


 チョビがきつい眼差しでこちらを睨んでいます。

 カイゼルはそれなりに丁重な態度でわたくしに色々質問してきます。


 カルドの親戚の娘で一緒に生活して居たのかと聞かれたので、そうです、と答えます。


 どうやらケルスナーとラインバルブ経由で情報が伝わっていることは無さそうですね。二人は逃げおおせたと考えて良いでしょう。

 冒険者シロガネとしての初ミッションはまあ失敗は免れたと言えますね。

 わたくしは内心、どや顔をします。


 さて、わたくしのことは、村での情報がどこからか流れた可能性が高いです。


 そのあとも、カイゼルから主にカルドのことを聞かれ続けるので、適当に知っていることを話します。


 大方満足した様子のカイゼル。


 わたくしの態度を協力的と解釈していただけたのか、このあとは王都に連行すること、束縛は最低限にするので、今後も協力的であるようにとのこと、監視は厳重だぞという脅し、を話して去って行きました。


 結局最後まで険しい顔のまま、一言も話さなかったチョビが近づいて来ます。


 そしてわたくしの耳元で囁きます。


「とあるお方からの伝言だ。あれから釣りは上達したかい。今回は網で釣られる気持ちが味わえたかな。とのことだ。」


 そうしてチョビもわたくしを監視の兵士に託すと去っていきました。


 ……どうやら、王都ではリムリール先生にリベンジ出来そうです。楽しみです。

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