第6話 お城とココア

 しばらく〝ぴぴ〟の意のまま走っていると大勢の人が群がっているのが見えてきた。

 遠くのほうからは誰かがマイクを使って話しかけているような声がする。

「何?何かやってるの?」

「しもうた!もう始まってしまったようじゃ」

 ココアは群衆の一番後ろに近づく。群衆の中の人達はココアと同じような可愛らしい格好をした人もいれば、燕尾服のような格好をした人もいて老若男女問わずいる。ただ、皆同じなのは小さなうさぎの耳が頭から生えていることだった。

 そして、その群衆の奥には可愛らしく、ピンク色と水色と黄色の3色で塗られた、小さければおもちゃのようなお城がそびえ立っていた。

 そこのバルコニーからパッションピンクのドレスとうさぎの仮面を付けた女性がにんじんの形をしたマイクを持って立っている。先程からする声の正体はこの女性のようだ。

「あの人が女王様?」

「そうじゃ、だが少し遅かったようじゃ」

 トランクケースに乗ったうさぎのぬいぐるみが女王からマイクを受け取ると、女王は両手を空に向かって掲げる。

「あのトランクってどうやって宙に浮いているの?」

「しっ!静かにするのじゃ。よく見ているのじゃ」

 すると空から宝石のようなキラキラと輝く石が無数に降りてくる。

 数にして、100…1000個以上は優にありそうだ。

 女王が掲げていた手を左右に広げたと同時に石はあらゆる方向に飛んでいく。それを見ていた群衆は我先にと、石が飛んでいった先に走って消え、女王はその様子を見届けると城の中に引っ込んでしまった。

「戦の開催概要を聴きそびれてしまったのじゃ」

「〝ぴぴ〟今の何あれ?凄いキラキラで綺麗だった!!」

「お主、そんな呑気なことは言ってられないのじゃ!もう試練は始まっているのじゃ!」

「へっ?」

「お主があんまりノロノロとしておるから、開催概要も聞き逃した上、出遅れているのじゃ。とりあえず、今飛び散っていったあの石、カラットを小さく砕いた物ゆえ『 カラットの欠片』と呼ばれるものなのじゃが、あれを沢山集めるのじゃ。女王様が決めた個数より上の数を集めれば、選ばれた者の素質があることを認めてもらえるはずじゃ。確か、前の時は……そうだったと思うのじゃが」

「その記憶信じても大丈夫?」

「なんせ、100年も前じゃからの……。!なんて言ってる場合じゃないのじゃ!早く集めに行くのじゃ!」

「100年!?〝ぴぴ〟いくつなの?」

「うるさいのじゃ!歳なんて忘れたわい!早く!!!石集めに〝れっつごー〟なのじゃ!!!」

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