ワンダーラビリットココア

ちょこ

第1話 はじまり

 これでもかと高い位置にある太陽は今日も与えられた自分の使命を成し遂げようとしている。

 太陽から見れば、認識しているかも怪しい、米粒ひとつにもみない学校だろう。

 その中では太陽の雫とも思えるキラキラと輝く日差しが絶え間なく降り注がれ、校庭の中に無造作に植えられた木々とは反対に、綻びなくきっちりと隊列を作り朝礼台に立つ1人の大人の話を聞いている彼らはまだあどけない顔立ちの中にもうんざりとした表情を浮かべていた。


 隊列を作る彼らとは別にその中を追い出されたかのように太陽の視線からも逃れる位置に少女が座っている。

 綺麗に編まれた三つ編みとタレ目が特徴的で第一印象は大人しそうな印象を持つ。

 その少女の名前は新道ココア。


 ココアは日差しが当たらない昇降口から列に並ぶ彼らを羨ましく見ている。

 彼女のまつ毛も同調するかのように一つ一つが顔に暗い影を落としていた。


 そう、今の自分はあの輪の中に入れないのだ。


 授業よりも長く感じる20分の永遠とも思える時間。


 毎週突きつけられる現実。


 それがこの少女、ココアにはとても苦痛だった。

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