第45話:閑話~エヴァンスの暴走2
エヴァンスの順番が来た所で衛兵は、彼が処分を受けた元侯爵だと言う事に気付き、何かしらの理由で入国する可能性を懸念し、ウィルへと部下を向かわせる事にした。
(セレンティア元侯爵と思われる人物が来た事をウィル様に通達して欲しい)
(承知)
「証明書を提示願います」
自分が元娘に逢えると信じて居るエヴァンスは
「証明書を無くしてしまったのだが、獣人の国に我が娘が保護されて居るのだ。逢いに向かえば私が父親だと証言して貰えるだろう。こちらにアリスフィーヌと言う娘が保護されて居るだろう?」
と自信たっぷりに証明書なしで国境越えをしようとした。
しかしながら彼の行いは獣人の国にも通達がなされ、侯爵でもない身分の者だと知らされて居る為
「それは間違って居ませんか?アリスフィーヌ様の父親はマシュー・ウィルソン様ですが・・・彼が国を離れたと言う記録は有りませんよ」
と答えたのだ。
「なっ?!くそジジイめ!!私の娘を連れ去り娘のように扱って居るだけだ!正真正銘、私がアリスフィーヌの父お・・・「貴殿に彼女の父親を名乗る資格など無い」なんだと?!」
報告を受けたウィルが愛馬を操り、エヴァンスが居る場所へ駆けつけたのだ。
「貴殿の噂は獣人の国にも届いて居る。確かマデリーンと言う娘だけを溺愛し、アリスフィーヌを別邸に追いやり食事も取らせずドレスも買わず放置した・・・だったか?」
「な・・・ん・・・で・・・その事を…」
「アリスの私物をマデリーンの私物として与え、ドレスはマデリーンに合わせて作り直し、アリスを居ない者として扱っただったな」
「
それを聞いたウィルは絶対的な威圧を纏い
「ほう・・・」
と一言だけ吐き出すと、馬から降り門番たちを下がらせ、通常通り手続きに訪れた人々を門の中へと招き入れると固く門を閉じさせた。
「なっ!?獣人の国への門を閉じるなど、正気か?」
「アリスに恨みを向けると言ったな?王族の・・・第一王子で有る私の婚約者を
一番、怒らせてはならない人物をエヴァンスは怒らせてしまった。
腰に携えて居る剣に手を掛け抜き、エヴァンスの喉元に向ける。
「ひいっ」
「宣言したのだな!?」
「は・・・は・・・はいぃっ」
腰が抜けた状態で尻もちを付き、情けなく「宣言しました」と言うエヴァンスに躊躇いも無く右手を振り下ろし、王族に刃向かった罪と言う事で切り捨てた。
「元はアリスの父親では有るが考えが阿呆すぎた。考えを改めアリスとアイリス様に謝罪をすると言えば、助かる道も有っただろうに自ら破滅を選ぶとは・・・」
遺体をそのままには出来ない為、付き従って来て居た衛兵に無縁墓地へ埋葬するよう指示を出し、街道の封鎖を解除してから王城に戻って行くのだった
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