第14話:ルーカスを保護

 ルーカスは有り得ない断罪が目の前で成され、アリスに魔法封じの手枷てかせを嵌められ、騎士団によって魔の森へと連れて行かれる様を阻止する事が出来なかった。


「離しなさいっ!!」


「今、動けばアリスフィーヌ様と同等だと言われ救う手立てすら、失ってしまうぞ?!」


 アリスが酷い仕打ちをして居たとの手によって、ルーカスの行動は阻害されて居た。


「だったら一体、どうしろと言うのです?!お嬢様がマデリーン嬢を苛めた等、有り得ません!!それなのに反論も許されず国外追放と称し、魔の森へなど連れて行かれる訳が無い!!」


「気持ちは判りますわ。ですが動いてしまわれますとアリスフィーヌ様を救う手段も得られなくなりますわ」


「・・・っ!」


 苦い顔になってしまうルーカスでは有るが、周囲の言葉には説得力が有る。


 きつく拳を握りしめ、爪が食い込んでしまう。


「ルーカス様、わたくしたちが盾となりましょう。貴方様は騎士団の後を気づかれずに追って下さい。そうされる事でアリスフィーヌ様がしまう可能性を目撃するだけではなく、救う手立てすら得られる事になりましょう」


 はた・・・と気づいた。


 確かに騎士団を追わずしてアリスを救う事など難しい。


 魔の森は広大でアリスが捨て置かれてしまった場合、場所の特定が難しいだろうと推測できた。


 ならば捨て置く事を言い渡された騎士団を追いかければ、おのずと場所の特定は可能。


 ただし、騎士団に気付かれてしまえば、ルーカスが違う場所へと連れて行かれ、アリスを救う事が出来ない状態と化してしまう危険な賭け。


「・・・アリスお嬢様を救う為に協力して頂ける、と言うのですか?」


 不安だった。味方だと思っては居るが、ヴァカスの反応が怖い。


「勿論だ。私たちですらアリスフィーヌ様が苛めて居た現場をし突き落とされた日時判明して居ない。判ったとしても彼女がマデリーン嬢と接触だと証言できるからな」


じわり・・・じわりとヴァカスの視線から出口が見えなくなるように、卒業生たちが道を作ってくれる。


「アリスフィーヌ様を無事に助けて下さいまし、それがルーカス様を外へと導く代償ですわ」


 アリスの無事こそ、彼らの望み・・・。


 ルーカスは後ろ髪をひかれる思いをするのだが、アリスを救うべく、騎士団の後を追った。



 * * * *


 馬車と徒歩では間に合う訳が無い、馬車の残したわだちで向かった方向を探るしか残されて居ない状態だった。


「一番危険だとされて居る入り口方面・・・か?」


 ルーカスは行き先に迷ってしまう。


 だが、彼より早く動いた者が居る、それがウィルたち王族だ。


「君はアリスフィーヌ嬢の従者ルーカスだな?」


 アイザックが途方に暮れて居る背中を見つけ彼を保護する事にした。


「ア、アイザック様っ?!」


「臣下の礼など不要だ。アリスフィーヌ嬢の安全は保障しよう。君の身を獣人族の王城で預かる事になって居るのでついて来て欲しい」


 アリスが保護されるよりも先に、ルーカスが保護され、王城での再会に漕ぎつけたのだ

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