第15話:エヴァンスを断罪

 マデリーンが「やらかした」事も、アリスが国外追放されてしまった事も関係ない…とばかりにエヴァンスは朝から晩まで寝室に入り浸り、侯爵としての職務を全うして居ない。


 彼に取ってアイリスは政略の相手だった。


 侯爵家を存続させる為だけに子を成し、生まれたのが女の子と言うだけで、屋敷から出て行ってしまった。


 勿論、生まれたのが男児で有っても彼がアイリスを心底、愛する事は無かっただろう。


 何故なら、彼はアイリスと政略的婚姻をマリアと関係を持って居た。


 彼女マリアと愛し合い生まれたマデリーンを彼の娘として認識し、溺愛した。


 マデリーンから悪知恵を授かり、アイリスに毒が食事と共に盛られた。


 彼女の体調不良は毒による食欲減退。


 じわり・・・じわり、と体力が奪われて行き、アリスが13になる頃には起き上がる事すら出来なくなって居た。


 エヴァンスはアイリスを死へと追いやり、後釜としてマリアを据える気で居て実行したのだ。


 寝室でコトに及んで居る最中、アリスの祖父が


          バンッ!


 と寝室の扉を蹴破ると、目の前にはベットの上で恥ずかしげも無く裸体を晒し、繋がったままのエヴァンスとマリアの姿が現れる。


「・・・暇そうじゃの・・・」


 目のやり場に困ってしまう体制のエヴァンスたち。


「おっ…おっ・・・お義父とうさん?!なっ…なっ…」


「服を着るか離れろ。汚らわしい・・・」


 慌てて離れた2人は脱ぎ捨てた服を着るとバツが悪そうな顔になった。


「・・・一体、何ですの?!アタシたちの邪魔をしないで欲しいわ、お義父とう様」


「お前になど、父と呼ばれる筋合いは無い。そしてエヴァンス・・・お前は今日限りで屋敷の主でも無くアリスの父でも無いわ出て行け!」


「はあ?!ここはの屋敷です、生活する権利が有る!!」


「お前とアイリスの婚姻は無効となった。それだけでなくアリスフィーヌの親権も剥奪させて貰った。これが書類だ・・・出て行って貰うまでに1日は待ってやろう」


 呆けたまま固まって居るエヴァンスに、マシューは断罪を下す。


「エヴァンス・セレンティア、右の者はセレンティア家に害しかもたらさぬ存在。したがってアイリス・セレンティアとの婚姻関係を無効とし、アリスフィーヌ・セレンティアをマシュー・ウィルソンの養女として籍を移す事とす。エヴァンスと新たな家族となった者の地位は平民と成す」


 読み上げられた文面にエヴァンスは驚き、マリアは本心を言葉に出してしまう。


「何故だ!?」「何でぇ?!侯爵となって贅沢が出来ると思ってしたのにぃ!!」


「・・・私が何も気づいて居ないとでも思っておるのか?マデリーンだったか、あやつの入れ知恵でアイリスに毒を盛って居た筈だ」


「うっ・・・」「え・・・どう言う事ですか?」


「その者が、お前を後妻にするにはアイリスが邪魔だった。だからこそ、お前の娘からの知恵を有効活用し、毒を食事に混ぜて居た・・・と言う事だ」


 娘の信じられない行動に驚いたマリアは放心状態のまま荷物を纏めに自室へと戻り、全てを知られて居たと教えられたエヴァンスはマシューが連れて来た専属騎士によって捕縛された

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る