第13話:祖父の養女に?!
獣人族と人族では婚姻を結ぶ事は不可能に近かった。
何故なら、アースフィルが形成された当初、天族以外の種族は争い血を流した歴史が有る。
特に酷く争ったのが人と獣人。
見た目は変わらないが耳や尻尾が有る、と言うだけで忌み嫌う人と、能力的に優れて居た獣人。
昼夜を問わず争いは絶えなかったと記録に残されて居る。
だが、今のように平和な世界へと導いたのは先代のアース王。
【見た目が違ったとしても、同じ命を持つ生命では無いか。何処に争う必要など有ろうか】
そう宣言して数十年に渡る戦争を終結させ、彼は「賢王」と呼ばれ人族からも獣人族からも尊敬されたと代々、語り継がれて居るくらいだ。
そのような歴史が残って居る為、人族に対して「嫌悪感」を持つ獣人も少なくない。
アリスが例え人族の王子から婚約を破棄され、冤罪で国外へと追いやられた身と知っても、受け入れて貰えない可能性が高いのだ。
「アリスフィーヌ嬢とウィルを婚約させるとしても、
「そうですね。公爵もしくは侯爵、伯爵までが候補となりますが、受け入れて貰えるか否か・・・」
「先ずは話を聞いて貰う事から始めましょう」
アイザック、レンシル、メイフィスがアリスを受け入れる為に行動し始めた。
「あ、あのっ…わたくしの祖父へ連絡を入れたいのですが宜しいでしょうか」
「あ!?そう言えば、アリスフィーヌ嬢の祖父が養女にする手続きをして居る、と言って居たよね?」
「は、はい。手続きが終わって居るか否か、風の精霊に連絡を取りたいのです」
【姫様、お爺様は姫様が国外追放されたと知って急ぎ娼婦に肩入れして居る父君の屋敷に向かい始めたわ】
『そ、そう。わたくしが無事だと言う事は伝わって居るかしら?』
【ええ!伝えたら、それはそれは喜んでおられたわ。獣人の城で保護されて居ると知って父君を追い出せると意気込んでらっしゃったわ】
「精霊から聞いた話では父を断罪する為に祖父が動いてくれたそうです。わたくしの無事を喜んで下さって居ますわ」
「君を獣人族の養女・・・では無く祖父の養女として迎え入れて貰い、私から婚姻の打診を手紙でしたためよう」
アイザックは獣人族の上位貴族に養女として入って貰う計画を立てて居たのだが、ウィルから思いもよらない情報を貰うと軌道修正して、祖父が養女として迎え入れてくれた後にでも打診の書状を送ろうと考えたのだ。
「ウィル」
「はい」
「お前は私の考えに同意で良いな?」
「勿論で御座います。ヴァカス様が残念がるのを早く見たい気もしますが、先ずはアリスフィーヌ嬢の安全を測ってからで構いません」
今まで虐げられて居たアリスが祖父の元へ行き、幸せな毎日を数週間でも数年でも過ごせたら良いな、と思って居る。
従者のルーカスとは王城で別れたっきり、何処で何をして居るのか?無事なのか?など不明なのだ。
「アリスフィーヌ嬢、君は気にして居ると思って・・・」
「ウィル様・・・?何を・・・」
「アリスフィーヌ様っ!!ご無事でらっしゃいましたか!?」
慌ただしく入って来たのはルーカス。
彼はアリスが連れ出されたと同時に救う為に動いて居たのだ
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