第33話:断罪
魔法封じの地下牢に収監されたマデリーンは、自分の運命に向き合って居た。
(私、どうしてゲームだと信じ切って居たのかな。食事もしてたし寒暖も気づいて居た筈なのに・・・ね。シナリオ通りじゃないからシナリオに軌道修正したりして、マジで滑稽だわ)
気付くタイミングは、いくつでも有った。
アリスが教科書を破る行為をして来ない、階段から突き落として来ない、苛めない・・・全てゲームでは無いと言って居るにも関わらず、マデリーンは王妃へ突き進むべく行動してしまったのだ。
(ここがゲーム世界と酷似して居るから錯覚したのかしら?いえ、違うわね。サブキャラとしか見て居なかった人々にも名前が有るって気付けた筈。それを受け入れず推しキャラの王子ルートを突き進んでしまった。ふっ・・・今更ながら馬鹿だったわ)
ゲームには逆断罪ルートも有った。
そのルートを見たくない為にハピエン(ハッピーエンド)ルートしかゲームしなかった。
「主人公が断罪される何て有り得ない」と言う理由では有るが、鬼ゲー(鬼のように難しいゲーム)としても有名だった。
普通の恋愛シュミレーションゲームは選択肢が3つか4つ、それに対してマデリーンがゲームして居たのは8つ。
主人公の立場になって考えなければ間違えてしまう設定だった。
当然、間違えた言葉を選べば好感度は下がり、先に進んで行った場合の恋愛イベントの内容が異なって来る。
その事に気付いたからこそ、慎重に選択肢を選んで行き、好感度を上げる事だけに執着を見せ「ここはこれ」「ここはこっち」とメモするくらいまで没頭したくらいだ。
ゲーム世界ではない現実世界で「やらかした」事実を「
(あ~あ。ゲームのようにリセットボタンが有ったらなぁ。初めから断罪されないルートを進むのに、それが無いって気付けば良かった)
マデリーンの断罪は、本来なら「見世物」として民衆が見て居る前で首を刎ねられるのだが、一度はヴァカスが結婚を宣言して居る事が貴族の間で知れ渡って居る為、外での断罪は見送られた。
ただヴァカスを誘惑した為に断罪される事になった、と言う事だけは貴族間に通達した。
断罪の塔・・・と呼ばれる場所は国を脅かしかねない人物を断罪する為に作られた場所で別名「首吊りの塔」とも呼ばれて居る。
マデリーンは質素なワンピースに身を包み魔法を封じられた状態で牢から出される。
「マデリーン、君の処遇が決まった。断罪の塔送りとなる」
「・・・(あぁ。ゲームの詳細も読むべきだったわね)判り・・・ました」
執行人は顔を見られぬよう仮面で隠し、先に進み彼女を塔へと連れて行くのは衛兵。
王子を魅了の魔法で操った悪女と言うレッテルを貼られたマデリーンは短い生涯を終える事となった
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