第32話:蚊帳の外
ヴァカスは城で何が起きて居るかを把握できる状況下には居なかった。
自室での謹慎処分・・・騒がしい事もない。
ただ、疑問に思うのは、自分がマデリーンを本気で妻にしたいと考えて居たのか?と言う事くらいだ。
(私は本当にマデリーンと結婚したいと望んだのだろうか。本気で愛し妻として隣に立って欲しいと願ったのだろうか)
ヴァカスにも魅了の魔法が掛かって居た。
それでも本気でマデリーンを愛して居たと、未だに思い込んで居るのだ。
「自分で悩んで居ても
扉前で見張って居た衛兵が開けないまま答える。
「お呼びで御座いますか」
「何故、扉を開けて聞かぬのだ?」
「陛下から開けてはならぬと言われております」
「マデリーンと話をしたいのだが、許可を貰えるだろうか」
「・・・無理だと存じます(陛下が暴走して反省しておられる、と知らぬので有ろう。その事に気付かれてはならない。かと言って王妃様に許諾を得に行ったとしても降りないのは確実)」
「そこを何と・・・「今更マデリーン嬢に本気で惚れて居たのかを確かめに行く気かい?」」
ヴァカスの言葉はレンシルの言葉に遮られ、真っ赤に顔が染まる。
「なっ!?兄上?!ど、ど、どうしてっ」
「お前の考えくらい察しが付く。言っておくがマデリーン嬢は死罪となる事が決した」
「え・・・?ま、まさか・・・私を誘惑した故の処・・・「それは違う」え?」
「初めから説明しよう。そもそもマデリーン嬢が学園に入学できたのはエヴァンス侯爵が彼女の母親を後妻として迎え入れた事から始まったと思われる・・・」
そう説明を始め順序を追って学園で起きた出来事もヴァカスに近づいた目的も魔法が行使されてしまった原因も全て知った。
「そ、そんな・・・。ではアリスフィーヌは・・・」
「そうだ。お前は何もかもマデリーン嬢だけを信じ、アリスフィーヌを信じなかった故に起きた冤罪で、アリスフィーヌ嬢は何もして居なかったのだ。それを国外追放し魔の森へ置き去りにするなど・・・」
「うぐっ」
「本来なら王位継承権の剥奪、身分降格、遠方での領地開拓。これくらいの罪になるのだが、父上も暴走した故、処罰は保留とする」
「ち、父上が暴走?!」
「皆の助力で事なきを得て居るから安心しろ」
「助力?」
「アイザック様たちが動いて下さり、万が一に備えて下さった。抑止力となったのは母上の『離婚』と言う言葉だったそうだ」
離婚と言っただけで?と言う顔つきになるのも仕方ないだろう。
普段のギルヴィアは賢王と呼ばれるくらい政治的にも人望的にも優れて居る。
だが暴走した姿は、まるで逆・・・ヘタレそのものなのだ。
謹慎処分は解かれないままでは有るが、ある程度の自由は許す事にしたレンシルは、王の代理として忙しく動く事となる
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