第51話:エピローグ1
ウィルはアリスに全てのカラクリ・・・すなわち乙女ゲーム世界の知識を使い、アリスを救った事を白状する事を決めた。
「アリス、君に謝罪しなければならない事が有るんだ」
「まぁ、何でしょう」
「マデリーンが口にして居た『乙女ゲーム』と言う言葉、覚えて居るだろう?」
「えぇ。摩訶不思議な言葉でしたので覚えておりますわ」
「私やアイザック、マギー様にアメリア様も、その知識を持って居てアリスが断罪される事を知って居たんだ・・・ごめん・・・」
王族とも有ろう者が頭を下げるなど、有り得ないのだが、今しがた聞かされた事柄を考えれば頭を下げざるを得なかったのだと理解できる。
「・・・マデリーンとの違いが判りませんわ。ウィルたちが知識を持って居たとして、助けて下さったのは何故ですの?」
そう物語として作られた世界ならば、そのままアリスを断罪へと追い込む事すら容易かっただろう。
なのにウィルたちは断罪する側に回らず、助ける側に回った。
その違いが判らないのだ。
「それはマデリーンがゲームの中に入り込んで居るだけだと思って居たからなんだ」
たった、それだけの事で?と言う顔になるのも仕方ない。
マデリーンが考えなしにシナリオ通りに事を進め、更には魅了の魔法を自由自在に操って居たのに気付いた時には遅かったのだ。
「だからと言ってウィルたちが助けてくれる理由にはなりませんわよね?」
「・・・死ぬ運命になる、と言う事が判明するのがパーティでの言葉だった。マデリーンが進んで居たルートは逆ハーレム・・・つまりは多くの男性を
はっきり言って誰のルートを進んで来たのかは、断罪シーンまで判らないゲームだった。
ゲームではアリスがマデリーンを苛めまくった挙句、嫉妬に駆られ、魔術で階段から突き落としたりもして居た。
だがゲームと現実が違うのは当たり前で、アリスはマデリーンに何もしないと言う行動に出てて居たからこそ、シナリオ補正にマデリーンは奔走するハメになった。
「まさか・・・マデリーンが魅了の魔法を使った理由は・・・」
「そう。シナリオを進める為の布石を投じる手段として使い、多くの男性を従える女帝・・・つまりは女王になるつもりだったんだ」
何て事を計画して動いたのだろう。
その
マデリーンは既に絞首刑に処せられて恨みを告げる事は出来ない。
「お母様が・・・殺されてしまったのは・・・」
「・・・
アイザックたち・・・協力・・・そう聞いたアリス。
その瞬間、理解できたのだ。
「アイザック様たちも知って居たのですね?」
「あぁ・・・マデリーン、アイザック、マギー、アメリア、そして俺・・・全員、ここでは無い世界に生まれゲームを知っており、俺たちはアリスの断罪を許せない者たちなんだ。今まで言えなくてゴメン・・・」
言える筈が無い・・・伝えてしまえば芝居がかった言葉しか出て来なかっただろう。
それを避け出来る限りシナリオに近い言葉で進めなければマデリーンを追い詰める事など不可能だった
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