第48話:幸福な瞬間を壊す者2
ウィルが正装に身を包み、赤い布に金色の装飾を施した大綬を装備して居る時だった。
「ウィル様っ!大変で御座います。馬鹿・・・もといヴァカスが北の地から脱走し、アリス様の命を狙って居るようなのです!!」
「・・・あの地から脱走した者の末路が、どうなるかすら抜けて居るのか・・・。アリスの命を狙って居るのなら私が動けば後を付けられる可能性が有るな」
「ですが今より婚礼式・・・動かぬなど無理で御座いましょう?」
「あぁ、普通は無理な事だが我が城には抜け道も存在するのだ」
「・・・あの道を使うのですね?」「ああ」
獣人の王城には万が一、城が攻め込まれ王族の命が危機的状況になった場合の為に、逃げ道が作られて居る。
ヴァカスが追いかけて来る可能性が有るのなら、自室から出ないでイライラさせる方法を取れば良い。
「だが、それではヴァカスがアリスを襲い続けるだろう」
「馬鹿すぎるが故に知恵が回る・・・と言う事ですか。シナリオより馬鹿すぎません?」
「あれが馬鹿すぎてくれたからこそアリスを助けられたんだろう?」
「まあ、あのまま馬鹿では無かったら、物語の進行通りにアリスは魔物の餌食になって居たものね」
シナリオ・・・そうウィル、マギー、アメリア、アイザック、マデリーン彼らは全員、日本からの転生者なのだ。
アリスに命を助けられた時、自分が居る場所は妹が遊んで居た乙女ゲームの世界で、アリスは悪役令嬢として断罪される運命だとウィルは気づけた。
そしてマデリーンは王子や宰相の次男などを
そこからは同じ転生者が居ないか、と言う事を探りアイザック、マギー、アメリア・・・彼らが転生者だと知ると協力体制を作った。
だが明らかに違うのは、この世界が乙女ゲームでは無く実在する国で生活して居ると言う事と、聖なる魔法が存在しない事。
「ヴァカスの思い通りにはさせぬ」「ええ」
* * * *
知らせを受けたアイザックは
「あの馬鹿は最後まで馬鹿だった、と言う事か」
と馬鹿っぷりに溜息を吐き出した。
「残念だけどね、ヴァカスは馬鹿のまま奴隷まで落ちる事となるわね」
北の大地から脱走した者は「罪人」の烙印を押され、奴隷として死するまでコキ使われる・・・それも寒さしか来ない北の地で・・・と言われて居る。
「
「そうね」
アメリアはマジックバックから弓装備を取り出し用意すると、ヴァカスを見つけ次第、射れるよう体制を整え、アイザックは礼服に似合わない剣を腰に刺すとアリスが控室として使って居る部屋へと向かったのだ。
そんな事になって居るなど、知らないヴァカスはアリスが居る場所を突き止める事に成功し、ほくそ笑んで出て来るのを待ち構えて居た
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