第47話:幸福な瞬間を壊す者1
アリスが有りもしない罪で国を追われ、森に捨て置かれウィルたち王族の手によって助け出されてから2か月半・・・。
獣人の王城は祝いの飾りが施され、第一王子とアリスの結婚を祝う準備が整えられて居る。
「これで我が国は安泰と言えるな」
「そうだな、稀代の魔術師と言われる令嬢と我が国最強の王子が結婚するんだ。アース以外の国々が最強になったな」
アース以外が幸福になる・・・そんな言葉を下働き風の恰好で姿を隠して居た者が聞き、怒りをフツフツと煮えたぎらせて行く。
(何故だ・・・何故、私だけが不幸になってしまったのだ?それもこれも全てアリスフィーヌの
憎しみを心に宿してしまったのは、管理を任されて居た北方の領地から「抜け出し逃走した」ヴァカス。
顔を汚す事で、手が足りないで有ろう事から募集が掛けられて居た作業に食いついた。
作業に従事するフリをして、まんまと城内に侵入したのだ。
その事に風の精霊と闇の精霊が気づかぬ訳も無いのだが、この阿・・・こほん・・・元王子は考えもして居ないのだ。
アリスが居るで有ろう部屋を探し出すべく、あちらこちらに飾る筈の花々を運ぶ役割を買って出て、アリスだけが幸福になるのを許したくないと「暗殺」を企み始めたのだ。
(さて、アリスフィーヌが何処で着替えて居るかだが・・・)
ヴァカスは花を飾って無い場所を探して居るかのように見せかけ、アリスが婚礼衣装に着替えて居るで有ろう場所を探り始める。
* * * *
ヴァカスの行動は当然、アリスに筒抜けとなる。
【姫様たいへん!あの馬鹿が姫様の命を狙うべく北の地から脱走して王城に紛れ込んで居るわ!】
「ど、どう言う事?ヴァカスは北で領地運営を任されて居る筈。それなのに・・・」
その呟きは婚礼衣装を着付ける為に付けられた侍女が拾い
「アリスフィーヌ様・・・もしや元王子ヴァカスが獣人の王城に入り込んだのですか?」
と懸念事項を予測してくれた。
「え、えぇ。そうらしいですわ。今は何処に居るか闇の精霊様が探して下さって居るようですが飾り付けの花々を渡す係として入り込んだようなのです」
髪型を整えティアラをセットすると、外で待って居るマギーとアメリアに
「大至急、城内に
アリスに危険が迫りつつ有る事を伝えた。
マギーは即座に窓を開け放つと飛び立ちウィルの元へ向かい、アメリアは即座にアイザックとルーカスが控えて居る場所へと向かった。
「アリスフィーヌ様に何をしたいのかが判りませんわね」
「・・・ヴァカスの事ですから・・・もしかしたらマデリーンが断罪されたのは、わたくしの
マデリーンが断罪された理由はアリスでは無いし、ヴァカスが北方に追いやられる形となったのは、ヴァカスがマデリーンの魔法で操られたから。
完全なる逆恨みでは有るが、未来の王妃に万が一が有ってはならない為、部屋の前に騎士が2名、窓際にも盾となる騎士が2名、配置された
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