第27話:理解し難い現象1
* * * *
王城で起こった事など知る由も無いアリスは、ウィルとの婚姻に向けて、ドレスや装飾品を選んで居る。
「アリスお嬢様でしたら、ブルーの宝石をあしらったネックレスを身に付けられウィル様の色を纏われるのが一番宜しいのではないでしょうか?」
祖父は独り身なので母親世代の侍女にアリスの装飾品やドレスを見繕って貰えるよう願い出て居た。
「わたくしでは判り兼ねますので、お任せ致しますわ」
幸せそうな微笑み・・・今まで屋敷で冷遇されて来たなど感じさせない微笑みを浮かべるアリス。
その姿を見てマシューも嬉しそうだ。
「ルーカスから話を聞いた時は、ここまで微笑む事が出来るようになるか心配で有ったが、杞憂で有ったようだな」
「お爺様」
「エヴァンスが娼婦に熱を上げ通いつめ、子を成し後妻として引き入れた事が未だに信じられぬが、マデリーンが何かをしたと推測すれば、
「ですがお爺様、お父様に鑑定を掛けた事が御座いますが、何かの魔法が掛かって居た形跡は有りませんでしたわ」
「ならば魔法では無い…と言う事か・・・」
エヴァンスが娼婦に恋心を抱き、通い詰めるなど有り得ないのだが、祖父の知らない時代から思いを通じ合わせて居たエヴァンスとマリア。
その事実を知らないからこそ疑問に思ったのだ。
「大旦那様、王都より大至急確認して欲しいと手紙と共に魔道具が送られて来ました」
アリスと祖父が不思議そうに伝えて来たルーカスを見る。
「手紙の宛名は
「わたくしに?」
「魔術師で有るお嬢様にと緊急で確認して欲しいように書かれております」
普通、手紙の中身は本人しか見ないのだが、緊急を要する内容が届いた場合は従者もしくは執事が中を確認して良いとなって居る。
ルーカスが王城から届いた手紙と魔道具をアリスに手渡す。
「・・・その紋章はレンシル様」「え・・・えぇ」
戸惑いながらも書状を読んで行く。
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アリスフィーヌ嬢
突然の手紙に驚かれるかと思いますが王城にて、
魔法師長ですら理解し難い現象が起き、
この事を把握できるのは、もはやアリスフィーヌ嬢しか居ない・・・と
判断された次第です。
事の起こりは昨日、幽閉の塔にて目を開けておられぬくらいの
光が放たれ、それが魔法で有ろうと推測された事に御座います。
この現象が何で有るかを判断して頂きたく、
国外追放となってしまったアリスフィーヌ嬢に見て頂こうと
記録魔道具をお送り致しました。
危険な魔法なのか否かを判断できるで有ろうか?
もし危険と判断した場合は、手紙では無く風の精霊に願い出て貰い
通達して欲しい レンシル
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「・・・お爺様、白い布を張って頂けますでしょうか」
「その道具は映像を映し出す魔道具。撮影された映像を確認する、と言う事だな?」
「はい」
「用意させよう」
即座に白く大きめの布が応接間の壁に張られて行く
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