第26話:聖なる魔法の発動
幽閉されて居るマデリーンは焦りを感じ、魔法が封じられて居ても行使できる「聖なる魔法」を発動するかを悩んで居た。
(この魔法って本編で使われて居なかったのよねぇ・・・。使われるのはイベントが起こった時。アタシが幽閉されるイベントなんて描かれて居ないし、ヴァカス様が魔法から解き放たれる何て起きなかったのに・・・まさかイレギュラーでも起こした?!)
未だ「ここが乙女ゲームの世界」だと信じ切って居るマデリーン。
エヴァンス、アイザック、マギー、アイリス、メイフィス、ギルヴィア、マシュー・・・多くの「モブ」と呼ばれるキャラに名前が有ると言う事に気付ければ断罪を回避できたかも知れないのだが、彼女は王妃になる夢を追いかけ続けて居る限り、気づく訳がないのだ。
(断罪されたくないのよねぇ・・・。王妃ルートを進んで居た筈なのに、間違った選択したかしら。
選択を間違った時、やり直せる機能が有った事を思い出したのだが、実行する前にやらなければならない事が有る、と思い出すのだ。
この時、リセットボタンを探して「ない」と気づいて居れば結末は変化して居たかもしれない。
「そうだわ。聖女の魔法なら封じられても発生させられたわよね?」
ゲーム世界ではそれが出来る。が、現実世界でも出来るか?と問われると微妙では有るが、本人はゲーム世界に入り込んで居るとしか思ってない為、実行してしまうのだ。
カッ!
魔法封じの塔から目を覆いたくなるくらいの光が放たれ、騎士団や近衛、侍女や警備兵が大慌てして行く。
「なっ!?何が起きたのだ?!」「敵襲か?」
「いや違う・・・魔法みたいだ」
「「「魔法だと?!」」」
聖なる魔法の存在を知らない人々が戸惑ったのだ。
完全なるイレギュラー。聖なる乙女が存在するとすら知らないからでは有る。
聖なる乙女は伝説として描かれては居るのだが、それを鑑定できるのはアリスだけ。
その彼女はヴァカスの
外の騒がしさに気付いたレンシルが幽閉の塔へ視線を向け、初めて「そこ」から光が発生して居る事を把握する。
「一体、あの塔で何が起きて居るんだ?魔法師長なら原因が判るだろうか」
魔法に関する事柄を全て把握して居るで有ろう魔法師長なら原因を知って居るのでは?と考えたレンシルは彼を呼び出す事にしたのだ。
「魔法師長殿を呼んで欲しい」
「こちらの部屋にお呼び致しますか?」
「そうだな。頼む」
「畏まりました」
見えた現象を忠実に伝えるべく、映像記録用の魔道具を起動させ、撮影して行く。
幽閉の塔から発せられて居た光が収まり、魔法師長が到着する。
「お呼びで御座いますかレンシル様」
「ああ、この映像を見て判断して欲しいのだ」
再生された現象に戸惑いを覚えた魔法師長。
「・・・申し訳ありませんレンシル様。私でもこの現象は存じ上げません。アリスフィーヌ様でしたらご存知だったかも知れませんが・・・国外追放されマシュー様の元におられますので確認が出来兼ねないかと」
物知りな魔法師長ですら判らぬ事柄か、と溜息を吐き出すのだが、映像をアリスに見て貰い、判断を仰ぐ事にしようと軌道修正するのだった
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