第44話:閑話~エヴァンスの暴走1
侯爵として散々、贅沢を極めて居たエヴァンスが、マシューによって平民へと落ち、何もかも失った状態で平原に置き去りにされて居た。
「何故だ・・・何故、私がこのような仕打ちをされなければならん!」
「あなたぁ~?どう言う事なの?贅沢が出来るからと言って迎えてくれたのに、こんな何もない場所で、どうしろと言うのぉ?!」
「
「な・・・マデリーンが・・・そんな恐ろしい計画に加担したと言うのぉ?!」
「そうだ!お前の・・・お前が生んだ娘が元凶じゃないかぁ!あの毒さえ手に入れてなければ・・・何もない場所で途方に暮れる事も生活に困る事も無かった!!」
惚れた弱み・・・では無いが、エヴァンスがマリアと恋仲になったのは、事実だが後妻や愛人にするつもりは無かった。
単なる「遊び」として娼婦だった彼女を「買っただけ」なのだが、何故か恋仲になった、と勘違いし、マデリーンが生まれてからは溺愛するようになった。
通いながらの生活が面倒になり、屋敷に寄り付かなくなって行く。
アイリスはエヴァンスに愛人が居るのを知って居た。
が世継ぎは無理だと言われて居た為、知らぬふりをして居た。
やがてエヴァンスと愛人の間に娘が生まれた、と風の噂で聞いただけでなく、溺愛して居るとすら聞こえて来て、心を娘と執事くらいにしか開かなくなった。
じわり・・・じわり・・・と毒が盛られて居る事に気づく事は無かったが、幼い娘を残して死ぬものか・・・とアリスが13歳までは頑張れた。
エヴァンスが致死量の毒を最後に入れた事により、アイリスは娘を残して天に召されてしまった。
致死量を入れたのはエヴァンスでは有るが、その事実を隠しマリアが生んだ娘が元凶だと言い合いを始め、彼は西の獣人国へマリアは東のエルフ族の国へと、それぞれが移動し始めた。
(くそっ…。こんな事になるならマデリーンの言葉を信用するんじゃなかった。そうすれば少なくとも贅沢な生活は出来て居た筈・・・。それもこれも全てアリスフィーヌが元凶じゃないのか?)
憎しみの矛先をアリスに向けてしまうエヴァンス。
それが自らの破滅を招く事になるとは、思いもして居なかった。
* * * *
「身分証明を見せて欲しい」
アース国から獣人国に繋がる街道には、関所が有り冒険者ならギルドカード、住民なら住民証明書の提示をしなければならない仕組みが作られて居る。
アリスが獣人国に「何の検査も無く通過出来た」のはウィルの馬車で移動した為。
万が一、止められたとしても住民証明もギルドカードも持って居るので何の問題もなく通過できる。
エヴァンスはマシューから追い出された時に「持ち出す事をしなかった」ため、「アリスの父」で「祝いを渡しそびれたから」とでも言うつもりで門番に悪い笑みを浮かべて話しかけようとして居た
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